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第74話 閑話:お嬢と不愉快な仲間たちの末路(3)

「ああ、剣ちゃん、新人ちゃん紹介してくれて、ありがとねっ。カワイイもんだから、もう、お客さんが止まらなくてぇ」  高階はそう言うと、スーツの内ポケットから携帯を取り出した。 「ほら、頑張ってるでしょ?」  床に倒れたままのマスターが見せられた映像には。 『あっ、あっ、や、やめろっ』 『うっ、あっ』 『やぁぁぁっ!』 『はぁ、はぁっ、ああああっ』  顔に痣を作ったトシキが、大柄な男たちに甚振られ、嬲られ、喘がされている姿が映し出されていた。 「な、なんでっ」 「ああ? そりゃ、あいつがやったことを考えれば、当然だろうが」 「なっ!?」  圭太が高階の携帯を受け取り、マスターの隣にしゃがみながら、よく見えるようにと目の前に差し出す。ちょうど画面に映ったのはトシキが精液まみれになりながら、恍惚とした顔で腰を降っている姿。 『あっ、ああ、いいよぉ、もっと、もっとぉぉぉっ』 「こいつ、バンドなんかよりも、こっちの方が天職なんじゃねぇの?」  そのまま高階へと携帯を戻して立ち上がる圭太。マスターは顔色をなくし、呆然としたまま、ポツリと言葉が漏れる。 「なんで……ここまで……」 「ああ? お前がチビにしようとしてたことだろぉがっ」  圭太の長い足が、思い切りマスターの腹を蹴り上げる。 「ガッ!?」  腹を抑えながらうずくまるマスターを、藤崎はゴミを見るような目で見つめ、地の底から聞こえるような低い声で事実を突きつけた。 「……お前が手ぇ出しちゃいけねぇ相手だったってことだよ」 「えっ?」  「ガキに踊らされてんじゃねぇよっ」 「ガッ!」  今度は顔面に藤崎の蹴りが入り、完全に意識が飛んだ。床に転がった男の傍に高階はしゃがみこむ。じーっと見つめてから、ニヤリと嗤う。 「……剣ちゃん、とりあえず、こいつ、もらってくわ」 「可愛げがないんじゃなかったのか」  藤崎は煙草を咥え、床に転がった男を見下ろす。血塗れにの顔はだらしなく口を開けたまま、白目を剥いている。 「フフフッ、いえね、お得意様にこういうのが好みの方がいらしたの、思い出したのよ」 「うわ、こんなのがいいっていうのがいるんすか」 「ねぇ? 私は圭太くんみたいにカワイイ子が好きなんだけどぉ」 「え、遠慮するっす!」  慌てて藤崎のそばに逃げる圭太に、高階は身体をくねくねしながら「いけずぅ~」と声をあげた。そんな二人を、呆れたように見る藤崎。 「さぁてと……あとは保護者に落とし前つけてもらおうか」  藤崎は白い煙草の煙を吐き出すと、最後の相手を思い、鋭い眼差しで空を睨んだ。

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