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第5話
世界には男女の他にα(アルファ)β(ベータ)Ω(オメガ)という第二の性があり、
Ωは月に一度、一週間ほどの発情期が訪れる。
その発情期になるとフェロモンを放つことで近くのαを呼び寄せるのだが、それはコントロール出来る物ではない。
また本人の意思では抑えられない強烈な性的欲求が沸き起こってしまう。
そのΩ特有の性質によってαを誘い交尾―β同士でいうところのセックス―をしてしまうのだ。
一方のαは発情期のΩから求められると、その魅惑的な容姿とフェロモンにより、その誘惑に余程優秀なαでない限り殆どの者が抗えない。
そうして発情期にαと交尾しその種を注がれている最中に首の後ろを噛まれると、相手のαと番《つがい》と見なされ、そのα相手にしかΩは発情をしなくなる。
そして、ほぼ高確率で妊娠してしまう為、余程の事がない限りその相手と結婚する事が多かった。
大昔から皇帝や王侯貴族と言われる特権階級、今の社会で人の上に立つ人物―社長やスポーツのトッププレイヤー等は全てαで構成されている。
そんなαに個体的性質で弱いΩは賢く強いαに守られることで現代まで生き延びてきた。
そしてαは、Ωとの間に生まれる子どもが優秀な性質のαである確率が高いという理由から番にはΩを求めてきた。
このお互いを求め合うαとΩの関係性は、遺伝子情報にそう組み込まれているかららしい。
ちなみにβはΩのフェロモンに理性で抗える事と子どもの妊娠確率が低い事もあってか、Ωとペアになる者はあまり居ない。
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