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第14話

自分のうっかりに気がつき立ち止まりソッと袋の中を覗いて確認すると、大盛りが功を奏し、弁当が無事でホッとする。 それから弁当が崩れないように気をつけながら再び歩き出した。 そして何度か来たことのある部屋の前に辿り着くとインターホンを迷いなく押した。 「あれ?出てこない」 しかし篁が出て来る気配は無くもう一度押すが出てこないので、再度押そうとしたその時、目の前の重厚なドアがゆっくりと開かれた。 「!!?」 篁が出てくると信じて疑わなかった祐羽は、出てきた相手を見て驚きに硬直した。 中から出て来たのは小さな頃から顔を合わせてきた篁ではなく、背の高い年上であろう見知らぬ男だった。 思わず目を丸く見上げた祐羽は、口をポカーンと開けたまま凝視してしまう。 背が高く腰の位置が高いだけに足も長く、整えた黒髪の下のキリリとした眉と鋭くも綺麗な二重の目は、涼しい光を湛えている。 ――だ、誰!? 部屋を間違えたかと思ったが、空いている時は必ず篁が宿泊しており何度も弁当を届けに来ている部屋だ。 それに幾つかあるスイートルームはそれぞれが孤立しているので、ホテルスタッフが間違えて案内する事は無いだろう。 篁の関係者と思ったが、祐羽の記憶には全く無い相手だった。 思い出そうと男を改めて見つめれば、同時に容姿の良さに圧倒される。 ――この人もの凄くカッコいいな…。それにこのオーラ、きっとαだ。 そんな迫力ある男に見下ろされているせいか、それともαのせいか体が変にざわめき始めた。

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