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第24話
「わーわーわーっ!何してるんですか?!やめて下さい!!」
体の怠さ等構っていられず、祐羽はまるで美味しいアイスでも舐めているかの様な男の愚行を止める為に飛び付いた。
手を掴み何とか阻止し出来たと安堵するが、見上げた男の顔があまりにも近くにあって心臓が止まりそうになる。
改めて見ても男の顔は整っており、αといえどなかなかお目にかかれない程の美貌に、祐羽の顔は真っ青から一転今度は耳まで真っ赤になった。
「あっ…えっと、そのっ」
せいぜい手を繋いだのは小学生迄で、こんな風に成長してからαと触れ合う機会など無かった上に性的な事も未経験の為、どうしていいのか分からずに口ごもってしまう。
――ど、どうしよう…。
自分の放ったモノに濡れた男の手を掴んで硬直しているこの状態に困惑してしまうが、それは相手も同じだろう。
こんな時はどうしたらいいのか等、今までまともに発情してαと関係を持った経験が無いので検討もつかない。
戸惑いながらも―とりあえず拭かなきゃ―と思いベッドのシーツを引っ張り男の手を急いで拭った。
――これでよし。…あれ?僕、発情終わったみたい?
そこで祐羽は先程までの体と違い、火照りや興奮が落ち着いて来ている事に気がついた。
授業で習った時に教師が話していたのは、『発情期のΩはαと繋がり何度も続けて交尾しなければ発情が収まらない』という常識だった。
それがたった一度手で慰められただけで収まってしまうなんて、なんてお手軽な体をしているんだろう、と祐羽は自分の体を誉めつつ安堵した。
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