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第6話
入学式の翌日から本格的な授業が始まった。
教科書はなく、その教科の専門の講師から特別授業のような形の講義がある。
ほとんどの者がノートを必死に取っている。
教科書がない分、どの部分がテストに出るか分からない。
ミケはノートを広げ、必要そうな部分をメモ程度に書き、ほとんどスライドを見ていた。
ミケには一度見れば記憶できる能力がついている。
クラスメイトのように必死になってノートを取る必要もなかった。
最初の授業が終わると、教室には死屍累々が転がっていた。
慣れていないのもあるだろうが、かなり高度な授業だった。
そんな授業のノートを取るのだ。
見ながら、聞きながら、書きながら…。
集中力を途切れさせることなく、授業を受けなければならない。
かなりのエネルギーを使う。
頭が糖分を欲していた。
実際、ミケの隣のライアンはクラスメイト程ではないにしろ、かなりのエネルギーを使ったのか、大量の甘味を摂取している。
「ミケも一緒にどうだ?」
「いや、僕は大丈夫です。ありがとうございます」
「貴殿はあまりノートを取っていなかったが、大丈夫か?」
「えぇ。必要なことはメモしましたし、大丈夫です」
話していても食べる手を止めないライアンに苦笑し、ミケは次の授業に備えた。
一日の授業が終わった。
クラスメイトは屍と化しており、指一本も動かせないでグッタリしている者ばかりだった。
ライアンもそれなりに疲れたのが、疲労の表情が窺える。
「ライアン、僕は寮へ戻ろうと思いますが、どうしますか?」
「この後部活で勧誘されているので、その部へ行ってこようと思う」
「勧誘ですか、すごいですね。何部ですか?」
「柔道部、空手部、レスリング部、ラグビー部…あといくつかある」
体の大きいライアンを欲しがる部はたくさんあるだろう。
体験入部とかもしれくるだろうから遅くなるはずだ。
「寮母さんにはその旨伝えておきますね」
「申し訳ないな。よろしく頼む。ではまた後程」
そう言うと、ライアンはさっさと荷物をまとめ、教室から出て行った。
ミケも寮へ戻ろうと、鞄を抱え直し、教室を後にした。
寮へ向かおうと、昇降口で靴を履き替えている時、聞いたことのある声がした。
「ちょっと面貸せや」
入試の時にぶつかった黒豹族の男、レオポルドだった。
他にもチーター族のジャバタスとオセロット族のマルゲイも一緒にいた。
「レオポルド君とジャバタス君とマルゲイ君じゃないですか。どうしたんですか?」
「お前、何で授業のノート取らねぇの?」
「何でって見ていれば覚えるものでしょう?」
「もしかして、一度見たら記憶できるとか言うんじゃ…」
「えぇ、一度見れば覚えます」
男たちは額に青筋を立て、いらついた表情で迫ってきた。
「お前Ωのくせに総代だし、一度見れば記憶できるとか言うし、俺たちのこと馬鹿にしてんだろっ!」
「そんなことないです」
「うるせぇんだよっ!」
全身全霊の一発を鳩尾に食らい、気を失ってしまたミケをジャバタスとマルゲイが抱え、体育倉庫に運んだ。
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