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第3話
「うん。でも、体調が悪いなら仕方がないよね。また誘うね」
「いや!待って!ゲームなら出来るから。ほら、今日、金曜日だし!」
「そっか…、じゃあ、一緒に帰ろう?」
「うん!支度するから待ってて!」
「ゆっくりでいいよ」
この時、いそいそと片付け始めた僕を、あの子がいやな微笑みを浮かべてることに、僕は気づかなかった。
「あれ?梁瀬、帰る準備早くね?」
クラス1仲のいい蒲田が話しかけてきた。
「あ、うん。今日、柊木くんの家に行くんだ」
「へー、お前、柊木と仲良いんだ。意外」
「僕も呼ばれると思ってなかったから驚いてる」
「あいつん家、めっちゃでけーらしいぞ。イケメンだし、頭いいし、金持ちってもう、勝てるところなくねー」
「蒲田は何を競ってんだよ」
「いやー、同じ部活だからなんとなく対抗心燃やしちゃうんだよなー」
「絶対勝てないから、無理しない方がいいよ」
「テメェ、梁瀬、覚えてろよ」
「もう、沸点低いんだから」
「梁瀬くん、もう準備できたかな?」
「あっ、柊木くん。ごめん、もう終わるから」
「柊木〜、こいつのこと、よろしくな。マジ、手のかかる弟だから」
「誰がお前と兄弟なんかなるかよ」
「…、2人は仲がいいんだね」
「「中学からの腐れ縁だけどね」な」
見事に蒲田とハモってしまい、どつき合う。
蒲田も友人は多いけど、僕は2人と違って友達が少ないから、貴重な存在だ。
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