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第22話

「奏、もしかして寂しい?」 「…」 声には出さないけれど、微かに頷いている。 「泊まっていく?」 「僕、お母さんに泊まるって言ってきちゃった」 「奏っ」 「うわぁ!?」 俺は耐え切れず、上体だけ起こしていた奏を布団に引きずり込む。 「ツンツンしている奏ももちろん好きだけど、素直な奏も良い」 「…、好き…?」 「え?」 「あ、秋臣は僕のこと…、好きなの?」 「そうだよ?」 「き、聞いてないよ、そんなの」 「好きじゃなかったら、セッ○スとかしないでしょ」 「セッ…、は、はあ!?」 「逆に奏は好きじゃない人とも出来るの?」 「…、出来ないと思ってたけど…、出来たよ」 「それは…、暗に俺のことは好きなわけじゃないって言ってるんだよね?」 「しょ、しょうがないじゃん!好きな人なんて…、出来たことないし…」 「ふーん。今の奏は気持ちいいことしてくれる人だったら、誰でもセッ○スしちゃうわけね…」 「それはっ…、そう…、なのかな」 否定しかけたけど、否定し切れないらしい。 奏がほかのやつと(もちろん、男女問わず)、セッ○スなんてしてしまったら、最悪、奏を殺して俺も死んでしまうかもしれない。 「奏」 「え、なに?」 「もしも、奏が俺以外の人とセッ…、いや、キス…、いや、手を繋いだりしたら、即刻監禁するからね」 「こっわ!?それ、犯罪だからね!?」 「指きりしよう」 「やだよ」 「かーなーでー」 「それに…、今のところ、秋臣以外とっ、てててて手を繋ぐとか、それ以上とかする予定ないから」 「可愛い。今のもう1回」 「もう言わない」 またツンケンした奏に戻ってしまったけど、やっぱりそんなところも可愛い。

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