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第37話
人だかりが出来ている柊木くんを睨んでいると、蒲田に小突かれる。
「あれ?もしかして梁瀬、拗ねてる?」
「…、別に拗ねてない」
「柊木ばかりちやほやされてるけど、大丈夫、可愛いよ」
「そこじゃない」
「え?じゃあ、なんで拗ねてるの?」
「…、拗ねてないし…」
「やぁ~だ~、かーわーいーいー」
「き、きっしょ!?くっつくなって!」
急にオカマっぽくなった蒲田が抱き着いて頬ずりしてくる。
絶妙にキモイ。
「こらー、蒲田、梁瀬くんとイチャつくなー」
そのツッコミで柊木くんに向いていた目がこちらに向けられる。
「っていうか、梁瀬くん、よく見たら可愛くね?」
「似合ってるし」
「女装コンテスト、出てみたら?」
「…、へ?」
いやいや、待って。
僕、そういうのを望んでいたわけじゃないから…
「な?俺の梁瀬、可愛いだろ?」
「だ、誰がお前のっ…」
「奏」
「ひっ…」
な、なんで柊木くん、めちゃくちゃ怒ってるの…!?
「奏、こっちにおいで?」
「えっ、何で?」
「言ってる意味、わかるでしょ?」
「…、はい」
いや、全然わかんないよ。
ガヤガヤしてたクラスメイトたちも、柊木くんの冷たい声のせいか静まり返っている。
なにこの展開…、柊木くんってもしかして、情緒不安定なの?
「あと、蒲田」
「えっ、なになに?」
「奏に触ったら殺す」
「ええ!?なんで!?」
「殺す」
「わ、分かったって」
おずおずと柊木くんに近づく。
柊木くんの目の前に立ち、恐る恐る見上げる。
柊木くんの冷たい目と合った瞬間、足が地から離れた。
「えっ!?な、なに!?」
「暴れると落ちるよ」
クラスの人が、とたんにキャーキャー騒ぎ出す。
その黄色い声の中、僕は柊木くんにお姫様抱っこをされたまま、教室を出た。
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