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第45話
「ふあ~、疲れた…」
屋上で、"出演料"という名目の蒲田が買ったジュースを飲む。
グラウンドでは、希望者参加の前夜祭が開催されていた。
もう、17時…
「わりー、本当にサンキューな」
「ああ、うん。っていうか、蒲田、前夜祭はいいの?」
「うん、俺は明日に仕事詰め込んで、今日のイベントは他の人に任せた」
「じゃあ、明日の司会に専念できるね」
「ああ。って言っても、クラスでの出し物と、部活の発表があるから、頭パンパンだよ」
「そういうところ、マジで尊敬する」
「あ、あれ、柊木じゃね?」
「本当だ」
校庭のど真ん中にはキャンプファイヤーを模したオブジェがおかれている。
その周りを、希望者が社交ダンスしている。
その輪の外に秋臣がいた。
でかいから、屋上からでも認識できる。
「柊木、踊るのかな?」
「うーん…、なんかそういうタイプじゃないよね」
と思ったら、小さい男子生徒が何か声を掛け、2人は腕を組んで校舎に入った。
って、あの男の子…
「おやおや、柊木、ついに浮気か…?」
「は?」
「あの子と梁瀬、どっちが本命だろうね?」
「やめろって、付き合ってないし」
「怒るなよ~」
「そんなことより、あの子、男女装コンテストの子だよね」
「え?あ、そうかも。確か、1年生の…、芦田くんだよ」
「芦田くん…」
「うん。超美人だよな…、安心しろ、俺は梁瀬派だ」
「なんも競ってないって!ちょっと睨まれただけ」
「え?今日?」
「そう。リハ中に。僕、なんかしちゃったかな…」
「下級生に睨まれて怒らないのって、案外、お前だけかもよ?」
「そんなことないだろ。でも、あんな綺麗な顔の人に睨まれたら、怒るなんて感情忘れちゃうよ」
「それはそうかも…、ま、本番では勝とうな」
「いや、いいよ、僕は。数合わせだから」
「そんなことないって!まあ、俺が頼んだメイク担当に期待しておいて」
「ああ、はいはい、分かった。とりあえず、全力でやるから」
「さっすが梁瀬~」
その後も、テキトーな蒲田の話に、テキトーに相槌を打っていたけど、18時には帰路に着いた。
その間、秋臣が戻ってきたり、校内で遭遇したり、ということもなかった。
どこ行ったんだろう…
まさか、あの空き教室で、美人とよろしくヤってるとか?
秋臣の恋人でも何でもない僕がとやかく言うのはお門違いだって分かってるけど…、僕とヤったところで他とヤるってどういう神経してるわけ!?
しかも、僕との時間は作れないけど、あの子とは疲れてても時間作れるってことでしょ?
腹立つ…
ぜんぜん勝てる気はしないけど、男女装コンテストで見返してやる。
俄然、やる気が沸いてきた。
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