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第47話

「よし、できた!我ながら傑作ぅ~」 「おお、すげぇ…、人形みたい」 「え?人形…?」 鏡を見ていないから、顔は分からないけれど…、服がブリブリのワンピースであることだけは分かる。 なんていうんだっけ…、ロリータ? 「あ、全身鏡あるよ、ほら」 「えっ…、これ、俺!?」 ちょっと足が骨っぽいけど、ワンピースの丈が長いので、けっこうカバー出来てるし、ウィッグも自然だ。 何より、目のでかさが違う。 「け、化粧ってすげー…」 「ま、アタシの腕のおかげかな」 「やっぱ、お前に任せてよかったわ~」 「いや~、これはお礼も弾むよね?」 「へ?」 「まさか、タダ働きってことはないでしょ?」 「も、もちろんデス」 「じゃ、駅前の生フルーツパフェで」 「ぐぬぬ…」 生フルーツパフェって、1個1500円くらいしたはず… 高校生にはなかなか手痛い出費だ。 ドンマイ蒲田 「蒲田くーん、そろそろ開祭式、始まるから下手に移動してくれる?えーっと、や、や…、ヤマセくんはこっちが合図するまで、ここで待機でいいから」 「もうそんな時間か~、よっしゃ、高まってきたぁ」 蒲田がウキウキで控え室を後にする。 「じゃ、ヤ・ナ・セくんっ、本番、がんばってね~」 「あ、ありがとう」 色々手伝ってくれた子も、僕に手を振りながら控え室を出て行った。 まだ何も始まってないのに、結構疲れた。 パイプ椅子に思いっきり寄りかかり、足を広げる。 2人から「その格好で足開くな」と怒られてたから、めちゃくちゃ意識して足に力入れてた。 でも、この姿なら、すこしは芦田くんに噛み付けるのではないだろうか… 秋臣が絡んだせいで、なぞに対抗心を燃やしてしまっている。 後輩相手にみっともないなぁ… オープニングの曲が微かに聞こえてくる。 どうやら、開祭式が始まったらしい。 うう、緊張する… 校長挨拶や実行委員長挨拶が終わったところで、実行委員の子がドアをノックした。 今思ったけど、控え室、1人1室設けられているんだろうか… 「ええと…、やな…、やま?…、そろそろ待機場所にお願いします」 「はい(梁瀬です)」 僕…、そんなに影薄いのかなぁ… ちょっと落ち込みつつも、緊張で震える足を踏ん張って立ち上がる。 待機地点に行くと、全員が揃っていた。 でも、やっぱり芦田くんだけ群を抜いて綺麗。 芦田くんは人気アイドルグループのコスプレだ。 多分、アイドルファンの票は確実に持っていくだろう… 勝負はかなり厳しそうだなぁ…

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