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第71話
「ま、待ってって、やだ!」
「もう十分待ったし、待つのは俺がやだ」
「ひぅっ…」
無遠慮に立ち上がったそこを掴まれ、腰が跳ねる。
秋臣の手が熱い。
「こんな風に掴んでも、奏は気持ちよくなっちゃうんだね」
「誰のせいだとっ、ひゃあ!?」
親指で先端をグリグリされる。
前はちょっと痛かったのに、今は快感しか拾わない。
「だめっ、それぇ、すぐイくからっ…」
「いいよ、1回イっても」
「だめ、ずるい。僕ばっかり」
「ずるい?」
「ずるい。秋臣、結局脱いでないし、僕ばっかり翻弄されてる」
「普段は俺が奏に翻弄されてるし、セックスの時くらい良いじゃん」
「セッ!!?って、普段だってお前が振り回してるだろ!!」
「ふ、この程度の単語で照れちゃうなんて、かわいいね」
「そ、そういうところだってば」
可愛い、と言われるたびに顔が熱くなる。
一方、秋臣は涼しい顔をして再び手を動かし始める。
どう考えたって僕が不利だ。
ずるい。
なんとか形勢逆転して、やつを辱めてやりたい。
そんな未来、来るのか?
全然想像できない…
「奏、上の空だね。俺、悲しい」
「う、うるさい。悲しんでろ、ばーか」
すると、秋臣はムッとした顔をして、さらにグリグリと刺激を強めた。
思いがけない衝撃で、思わず達してしまった。
「やぁぁぁ!?うぅっ…、イっちゃった…、って、待って、まだそっちだめっ、ひゃあ」
僕が吐き出した白濁を長い指で弄んだかと思ったら、突然、後孔に指を差し込んできた。
イったせいか、指が侵入しただけで、ゾクゾクと体が粟立った。
「ふふ、指入れただけで気持ちいんだ?」
「ちがっ、イったからっ、うぅ…、やだぁ」
「奏はいっつも、ヤダヤダだなぁ」
「だってぇ、秋臣がっ」
秋臣が、勝手に自分のペースで翻弄するからだろうが。
僕は、僕のペースがあるのに。
「俺のせいにするんだ?」
「秋臣のせいだもん」
「ふーん?」
また秋臣が不機嫌になる。
せっかく、文化祭が終わって、久々にこういうことしてるのに…
「ち、違う」
「ま、どうでもいいけど。そんなに言うなら奏がやれば?」
「へ?」
後孔から指が引き抜かれ、秋臣が仰向けに倒れる。
「どーぞ。好きにすれば?」
「え?ぼ、僕が入れるの?」
「俺がするの、嫌なんでしょ?」
「ち、違うってば。やだ、僕、出来ない」
ただでさえ、我慢してきたのに、自分で入れるなんて、絶対もたない。
「じゃあ、セックス自体やめる?」
「やだ!!」
「はぁ、じゃあ、何ならいいの?」
「それはっ」
突然冷たくなった秋臣に戸惑う。
でも、相手がヤダヤダ言ってきたら、たしかに僕でも萎えるかも。
全部、僕が蒔いた種だ。
秋臣と繋がりたい。
なんとかしなきゃ。
でも、言葉で謝るなんて僕に出来るだろうか?
っていうか、許してもらえないかも。
どうする?態度で示す?
立ち上がった秋臣のソレを見て、僕は覚悟を決めた。
嫌われたくない、許してもらいたい。
そう思うと手が震えた。
それを押さえつけるように、秋臣自身に手を伸ばす。
ズボンとパンツを下ろし、ソレを取り出すと、僕は後孔にあてがい、ゆっくりと腰を下ろした。
「あっ、やっ…、おっき…」
やだ、と言いかけて、撤回する。
やだとだめは言わないようにしなきゃ。
「ふぅっ…、秋っ、臣、僕、ちゃんとするから、許してっ」
めりめりと体を裂くように秋臣が入ってくる。
指を1本入れただけだから、なんか苦しい。
いつもは秋臣がちゃんと解してくれていたんだ、と思うとイヤイヤ言ってた自分が憎い。
それでも、体に入ってくるソレが秋臣だと思うと、ちょっと擦れただけでめちゃくちゃ気持ちいい。
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