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第129話

耐性スキルですらレアなスキルだ。 無効スキルなんて全くお目にかかったことがない。 この犬……強いぞ…! 「ひ、う、犬に勝てない、だと……やめ、こら、っんん…!」 魔法が効かない犬に、なすすべ無くされるがままになる俺。 これはまずい、まずいったらない。 フサフサの毛が肌をこする。胸に添えられた両の前足が肉球でサワサワし始めるのが更にまずい。 魔族のエロ本には人間は載ってなかった。もしかしたらこの犬は人間趣味なのかもしれないぞ。 「は…っこの、いけない子だなお前は…?主のモノに手を出すのか?んう、っ」 「がう、あう」 「ン、もうよせ、アゼルに叱られるぞ…っ」 なかなか言うことを聞かない犬にあわや獣姦かと内心焦っていると──突然、ガチャ、と窓が開く音がした。 そしてすぐに困った時の強い味方、本人公認サポートセンターこと、頼りがいがある銀の竜がマイペースにニンマリとやってくる。 「シャァル〜、今日俺もメシ一緒に食う〜」 やってきたのは勿論、何度言っても窓からやってくる、おなじみ空軍長官ガードヴァインさんだった。 「がっガド…!助けてくれ!」 「ンア?」 俺は闇の中に光が指したとばかりに、ソファーの上からガドにヘルプをする。 が、なぜかキョトンとして首を傾げられた。 足元に落ちていたエロ本を拾いながらのんびりと近づいてくるガド。 「なんでそんな姿なんだァ?魔お「ウォンッ!グルルルッ!」アァ、そうなのか。クククッ悪ィ悪ィ」 「う、うん?」 ガドがなにか言おうとすると、俺の上で好きなようにしていた犬が、素早くバッと飛びかかる。 そしてガドにワンワンと異議申し立てを始めた。 なにやら仲良さげだ。 俺はわけがわからなくてとりあえず起き上がり、はだけた服をもとに戻した。 うう、胸の所が湿ってすけている。ベストを着ていてよかった。 『ンじゃあ好きなタイプになる為にアレコレして、最終的に性癖チェックの為にお散歩モードでエロ本読ませに来たわけか。そんでオモチャ買おうとし始めたから、止める為に押し倒したら魔が差したと。クックック…!』 『笑ってんじゃねえぞ、重大事項だろうが。例え無機物でも俺以外がアイツに入るのはダメだぜ…!そんで初めて口でするのが俺以外ってのはあり得ねぇ』 『夕焼小焼な時間までなにやってんだかなァ〜。俺が聞いてやるから、魔王はそこで犬っぽく座ってな?』 俺が服を整えてソファーに座り直す頃には、一人と一匹の話し合いが終わったようだった。 じ、っと無言で見つめ合っていたガドと犬が、何事もなかったかのようにやってきて、隣に座る。 なんで二人とも両隣なんだ。挟まれた。 実際は、俺が犬と思い込んでいる狼が、アゼルのお散歩形態だと言う事実があり。 更に二人は人間には聞こえないし話せない、魔物語で話していたのだが……俺がそれを知る事は、ついぞなかった。 なんなんだまったく。 俺だけが散々だぞ…? それに夕飯に誘われた事で外を見ると、すっかり赤く染まっていて、もうアゼルが帰ってくる時間だった。 まさかエロ本でそこそこの時間を使ってしまったとは。 ふぅ、と息を吐く。 うん、楽しかったから良しとするか。あっちの練習はアゼル本人に頼んでさせてもらおう。 獣姦は回避したので気にするのはやめて、テーブルの上の紅茶セットを使って紅茶を用意する。 ガドにお礼を言おうとしたが、ガドの方が先に話を始めた。 「なぁシャルゥ、お前の好きなタイプってなんだ?愛関係なくだぜ?」 「ん?今日二回目だなその話…」 「ケド俺とはしてねぇかんな」 「それもそうか。愛関係なく……単純に好みって事か」 カチャン、と紅茶を俺とガドと犬の前に用意して、今日二回目のピンクめな話に思案顔をする。

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