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第138話※

♢ 「ん、ン」 腰を上げて、熱く狭い中に右の指を突き入れながら、勃起したモノを硬い腹筋に擦り付ける。 左手はアゼルのつけっぱなしのピアスのついた耳を指で捏ね、もう片方の耳はもうずっと舌で舐って、ふやけていた。 「く…ぅ……、うう…」 マテができればご褒美。 それを支えに、様々な淫らな誘いを耐える。焦らされ続け、悩ましげなうめき声が聞こえた。 はだけた胸にぐたりと身体を重ねたまま擦り寄ると、胸の突起が擦れて「ンッ」と嬌声が漏れる。 煽っているつもりだが、自分が気持ちいい。 つい汗ばむ体を擦り付け、胸の間で潰れる快感を追い求めてしまう。 そんな光景はすべて、アゼルを追い詰めるショーケースの据え膳でしかなかった。 ご褒美に唆されてしまったのは早計だ。 最早アゼルは煽り耐性ゼロの自分の限界と戦っている。 「は……あ、ぁ……ん、」 耳朶を甘噛みして穴の中に舌を絡められ、クチャクチャと脳まで響く粘着音。 産毛を擦る吐息も、煽ることなんて忘れているような甘い嬌声も、今すぐ塞いで食らってやりたい。 だけど我慢の限界でコソコソと手を動かして太ももを撫でると、鼻にかかった声で「コラ……」と牽制された。 ダメだ、その声すらたまらない。 ここまで抗いがたい叱り方もないだろう。 互いの心音が混ざり合うくらいピタリと寄り添った胸を揺らし、散々弄って感じるように仕立てた乳首を擦りつけてくる。 アゼルの腹で自慰をしながらチュプ、と後ろ手に秘部を解す指はもう三本飲み込んでいるシャル。 ゆらゆらと白い尻が揺れて、そそり立つアゼルのモノに指が入ったままの割れ目を撫でさせる始末。 拷問だ。 紛れもない拷問だ。 言葉もなくひたすら唸り硬直しているアゼルの鼓動が、ドッドッとうるさくなっているのが、シャルにも伝わった。 時折ビクッと反応するのに、必死に言いつけを守っているのだろう。 「ふふ……可愛い」 「っぅ、シャル…っ」 耳の裏側をなぞり心のまま愛でると、アゼルは情けない声で名前を呼んだ。 たくさん我慢できたいいこには、ちゃんとご褒美をあげないといけない。 火照った身体をゆっくりと起こし、鋭い瞳をすっかり欲に濡らした獰猛な犬の姿を見下ろす。 普段淫らな事なんて何も知らないような、のんびりとした穏やかな男。 彼曰くそんな見てくれをしたシャルが、自分の上で快楽を貪り行動を縛る行為に、たまらなく興奮しているのだ。 ふと、ほんの少し前の出来事を思い出す。 ツンと澄ましているが情に厚い、とびきりの美少年な友人と話していたこと。 初めは女性側になる方が好かれるだろうと考えて、そうした。 だから抱きたくないのか、と言われた時、改めてそう考えてみると「抱きたい」と言葉が出たのだ。 ──もし、アゼルにこのまま、管理される快感に支配されたいと言われたら。 やり方も何もわかっていなかった頃じゃない今の自分なら、きっともたつく事なく抱くことができるだろう。 確信を得てそう思うが、抱き合うことを考えた途端、ゾク、と背筋を這い上がる期待。 ……そうするには、少し遅すぎたな。 自分の指では浅いところだけしか慰められなかった奥が、トクンと欲しがってたまらない。 我慢していたのは、自分もだ。 「まだ、マテだぞ、ご褒美……ちゃんと、見てて、な…?」 ヌルリと滑った中から指を抜き、そのまま穴の周りの肉をぐっと広げる。 女性のように柔らかくはない弾力のある尻肉が歪み、赤く色付いた秘部がヒクヒクと息づく。

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