139 / 615

第139話※

膝に力を入れ身体を持ち上げる。 ずっと擦り付けるだけだった怒張に手を当て、広げた口に、大きく艶のある先をあてがった。 「ン、ん……ぁ…っ」 ズプ、と先端が飲み込まれる。入り口の輪がきゅっと引き締まって雁首を咥えた。呼吸が荒くなり、下腹部の奥が切なくなる。 シャルは竿に添えていた手を滑らせ、先走りをトロ、と零す自分の勃起に指を絡め、ゆっくりと揉み込むようにこすりあげ始めた。 「っは…、く……」 「ぁ、あ、っも、ちょっと、」 徐々に腰を落とし、太く大きな怒張を懸命に収めようと、眉根を寄せて震えながら腹に力を入れる。 ちゃんと慣らしたはずが、自分では不十分だったのか、皮膚がひきつってほんの少し痛んだ。 普段、どれほど丁寧に広げられていたかがよくわかる。 硬くて大きくて、熱い。簡単には呑み込めない。 ゴリ、ゴリ、と押し広げられた内壁が前立腺を圧迫して、力を抜くために慰めていたモノが、手の中で大きくなった。 ズズ、トン 「はぁ…っん、はい、た……ん……ぅ…っ」 それなりに時間をかけ、漸く全てを飲み込むことができた。 ピッタリとアゼルの腰と肌が触れ合う。 犯されることに慣れた襞が、意思関係なく収縮を繰り返して歓喜した。 待ちわびた充足感にギュウ、と締め付けると、湧き水のように快感が溢れだす。そうなるほど、繰り返し抱かれ慣れた体。 「んっ、ん、っ」 ただ挿れただけなのに。 薄く目を閉じて襞が絡む感覚を貪り、張り詰めたモノを夢中で扱く。片手は口元を覆い、もう片方は自身を刺激する。 「はっ、あっ、あ…っ」 顎をそらし仰け反ると同時に──シャルは自らの手の中へ、あっけなく精を吐き出した。 「っ」 その光景たるや、ある種のショーだと言われても遜色ない。そう言うシステムならおひねりをあるだけ投げつけていた。 ご褒美をあげようと言われ見せつけられた時から、瞬きすら惜しんで彼の痴態を見つめていたアゼルは、ガリ、と自分の指を噛む。 まさか褒美に、こんなものを見せられるとは思わなかった。 てっきりヨシと抱かせてくれるものかと思っていたのに、シャルは自分で奥に受け入れ、その刺激と余韻をオカズに射精したのだ。 自分がそうなるように調教したようなものだが、それにしたって感度がイイ。 所々抜けていて癒し系だが、見た目も中身もストイックでやると決めたらやるカッコイイ彼がそうだと、余計に淫猥だ。 ペタリとアゼルの肌に手を置いて項垂れ、脱力する男に、マグマのような欲望が沸き立つ。 自分の中の凶暴な部分が、達するとともに強請るようにヒクつく体内を、このまま散々に犯してやれとごねる。 わかっていてやったのか。 それともアゼルに施す行為の参考になっているらしい雑誌に、そうしろと書いてあったのか。 どっちでもいいが、アゼルの理性はもう我慢の限界の、その先の限界だ。 元々彼の全てが可愛く見えるフィルターがあるのに、これ程エロ可愛い反応をされたら、興奮するのは当然だろう。 もう無理だ。本当に無理だ。これ以上煽られたら、朝日を拝むまで寝かせられそうにない。 そんなアゼルに、シャルはそっと赤らんだ顔を上げて、未だ淫らな空気を纏った表情のまま、困ったように笑う。 こんな予定じゃなかったんだが……。 ご主人様よろしく焦らしつつ、余裕を持って騎乗位の練習をしようと思っていたのに。 前置きを告げる彼は、あくまでこの状況を予想外なのだと言い聞かせる。 どうしたらいい?、なんて相談するように、困惑するシャルはアゼルを見つめた。 「その、我慢させる予定が、俺も焦れてたというかだな……イクつもりじゃなかったんだが……我慢、出来なくて……」 「は…、」 「き、気持ちよすぎて、腰が抜けた……」 ──だから、これ以上煽られたら、朝日を拝むまで寝かせないと、言っているだろう。 つい先程まで積極的に乗り上げ、主導権を握っていたくせに、なんの計算でもなく、素で痴態を晒したらしいシャルへ内心抗議する。 素直なシャルの締めの一言で、愛する人の言いつけを守ろうとかき集めていたアゼルの理性が、モノの見事にブチ切れた。

ともだちにシェアしよう!