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第143話※

「アゼル……、っなんで、触って……」 どこかにいるはずのアゼルを恋しがって、切なく火照る体をゆすり、打って変わって甘くねだり始めるシャル。 「やめないで、くれ、」 もどかしい拘束をか弱く擦る。 絶頂の寸前で引き抜かれた、晒しっぱなしの後孔がヒクヒクと物欲しげにしている。 「これ、取って、アゼル……っお、俺も、お前に触りたい……もっと、シて……」 まるで真逆の言葉を、懸命に強請った時。 突然シュル、と優しく目隠しが解かれ、驚くほど近くにニヤリと上機嫌でニヤつくアゼルのご尊顔があった。 実はずっと目の前で覆いかぶさり、気配を消して悶える表情を余すところなく眺めていたのだ。 もう無理だと言うシャルをここぞというところで引いて、一転して続行の言質をもぎ取る。魔王らしいといえば魔王らしい。 夜は好きに気配を消せる自分の特性をフルに活かした特等席である。 戦闘に使うものをプレイに使う。変態の名に恥じない所業だ。 「ぇ、あ…?」 「そんなこと言われたら、朝まで頑張るしかねぇよなあ。クックック…!」 「な、なん、うっふ、っ、ンン…っ」 そして状況を理解しきれないシャルが二の句を告ぐ前に、アゼルはシャルの唇を塞ぎ、有無を言わさず貪った。 舌を吸い上げ、上顎をなで、喉奥を突き、滲んだ唾液を啜りながら、手のひと振りで拘束していた自分の魔力を消し去る。 突然自由になった手足がドサとベッドに落ちると、それが動き出すより早く、ぎゅっと引き締まった色めかしい腰を抱き寄せ──待ちわびる秘部に、熱い怒張を根本まで突き入れた。 「ンッうう、っ、うぅぅっ」 そのまま静かに放置した時間を早送りするように、激しく肌同士を打ち鳴らしながら攻め立てると、塞がれた唇から篭った喘ぎ声があがる。 いつの間にやら身体の下に潜り込んだ右腕が尻を抱え、左腕が浮いた背骨から背中をなぞり、好き勝手愛撫された。 「はっん、!っんん、ぅ、ふっぅ」 シャルは目の奥にバチバチと散る火花を見ながら、空いた腕を必死にアゼルの首に回して、下からの突き上げでベッドヘッドに頭をぶつけないようにしがみついく。 酸素を奪われ息もできないが、暖かな体にしがみつけるし、乱れる自分から目を離さない黒い瞳を見つめることもできる。 そのうちにゴツンッ、と深く中の曲がり角を穿ったものが震えたかと思うと、漸く弾け、初めから勢いの減らないままの熱が熱く迸った。 ビクッ、 「ん、っんん…っ」 その熱を感じ、出しながら押し込むように内壁をグリグリと抉られた快感で、つられるようにシャルの頭の中で星が散り大きく身体が痙攣する。 ドク、ドク、と注ぎ込まれる精を漏らさないよう、酷使された襞が健気にきゅぅ、と纏わり付く。 今日だけでいくら出されたかわからない。下腹部がやや重いが、後が怖いので考えない事にした。後処理は自分の感度との戦争だ。 達するシャルの戦慄きが収まる頃に、漸く塞がれっぱなしだった唇がツゥ、と糸を引いて解放される。 「っは、……っは……」 紅潮した頬を汗と唾液で濡らし、浅く呼吸を蹴り返した。 トロンとした瞳で見つめてくるシャルに、アゼルは心の中で転げまわって、可愛い可愛いと叫ぶ。聞こえなければ無罪放免だ。 よし、ぼんやりとしているがまだ意識はある様だし、言質は取った。 朝まで時間はたっぷりある。 「ぁ…?な、んでまた、おおき…っ」 「大丈夫、お前は中イキできるから、精液尽きても全然イケるだろ?」 「ヒ…ッ」 ──その後、一睡もすることなく朝日を眺める羽目になった、奉仕の練習をしたかっただけの男気番長・シャル。 こんなに抱かれたら、もう二度と男としてのセックスに満足できないだろうな、と若干世を儚んだが……枯れるまで責任を取って貰うことにして、前向きに諦めたのだった。 絶倫魔王の果てしない欲望を受け入れるのも、また愛情と言う男気なのである。

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