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七皿目 ストーキング・デート

魔王妃・ある日の昼下がり。 「シャル!明日一日休みをもらったから、城下町に下見に行くぜ!」 「おお」 ドドン、と仁王立ちするリューオに、俺はグッと親指を立てて頷く。 前に、見所ありそうなデートコースを探すために二人で城下町を下見に行って、俺はアゼルを、リューオはユリスをデートに誘う約束をしていた。 それの目処がたったので、お誘いにきたのだ。 俺も魔力を解放してもらい、剣も持たせてもらったしな。 アゼルをデートに連れ出したことが無い俺は、ここでアゼルの喜びそうなものを見繕って、楽しい一日をプレゼントすることを夢見ている。 今からそれを思って浮かれてきた。 単純な男だろうが、二人で出かける事がそもそも稀なので、それを目指すとなると気合も入るってものだろう? 「それじゃあ明日、変装については考えておくぞ」 「おうよ、こっそりお忍びだかんなッ?うまくやれよ」 「任せてくれ」 俺と同じく浮かれながら部屋を出ていったリューオに、俺はグッと明日に意気込んだ。 「──と言うわけで、明日朝からリューオとこっそり城下町に行ってくるぞ。これはお忍びなので秘密だ」 「…………」 アゼルの手から食べようとしていた鶏肉のソテーが、ポロッと皿の上に落ちる。 なんのことはない。 事の次第を夕食の時にアゼルにまるごと告げたのだ。 ころげたソテーをよいしょと自分のフォークで突き刺して差し出すと、ポカンとしたまま硬直しているアゼルは、そのまま食いつきもぐもぐと咀嚼する。 ちゃんとご飯は食べないとな。 今日のメニューは鶏肉のソテーと付け合せのアスパラ、プチトマト、茄子のグリル。それから豆のサラダにパンとコーンスープ。 このスキにアゼルの茄子も突き刺して差し出すと、抵抗なくもぐもぐし始めた。 アゼルは茄子が苦手なんだ。 固まるアゼルはしばらくもぐもぐしていた茄子をゴクンと飲み込む頃に、漸く事態を理解して「うぉぁぁ…!」と頭を抱えた。 「(俺とのデートの為に下見に行こうとしているのが嬉しいッ!アホ勇者と二人きりで出かけるのはムカつくッ!だが秘密にしろと言われているのにあけすけに全部語ったうえで許可を求めるシャルが好きだッ!こ、この複雑な感情をどうやって伝えりゃいいんだッ!?)」 非常に悩ましい表情で唸っている。 んん、もしかしたらこういう時は秘密にして、サプライズにした方が嬉しかったのか? だが何も言わないで街に行ったら、バレた時には巨大狼が街の上空を闊歩して、とばっちりで辺りを更地にする可能性大だ。 かと言って行き先を秘密にするとまた悪い方向に考えて、暴走するかもしれない。後ろ向きに全力失踪するからな。 結果、アゼルには正直に言うのが一番、俺とアゼルの精神衛生を平和にするのだ。 これぞ魔王との夫婦円満の秘訣である。 生涯の伴侶には紳士かつ真摯であれと、シャルさんのお墨付きを推しておくぞ。笑うところだ。

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