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第150話

♢ リューオと話しながら歩くと、城下町へはすぐに到着した。 門番にお金を払い、入ったと言う証明みたいな書類を書く。 アゼルがいたらフリーパスなんだが、今回は普通の魔族の観光だからな。 アゼルはいろんな所に視察や会談、夜会、つまり出張に行くことがあり、泊まりになるような遠い所は俺を連れて行ってくれる。 理由としては、一日会わないと俺成分が不足するらしい。俺はなにか分泌していたのか。 しかし城下町はすぐそこなので視察なんてない。 見に行かないといけないことがあったらちょっと行ってくる、の散歩感覚で行ける距離なのだ。 それに報告書が上がってくるので頻繁に行かないとか。 なので、俺も城下町に来るのは初めてだ。 リューオも陸軍に混ざっているとは言え街の見回り隊に流石に人間はまずいので、来るのは初めて。 初めてコンビの俺達は、様々な魔族がひしめく活気あふれる城下町に感心してしまった。 「スゲェ、人間国に負けねぇぐらい賑わってんなー」 「そうだな。建物の構造や品揃えはやや違うが、人間国より騒がしいくらいだ。城下町は他の街より活気があるな……」 「俺魔界に来るまで魔族なんてあんま見なかったし、見てもすぐ討伐してたから、昔は魔物みてえな奴らだと思ってたんだよ」 やっぱ知れば知るほどわりと普通に生きてんなぁ、とリューオは歩いて市場を見ながらしみじみとつぶやいた。 それは俺もだ。 残虐非道で冷徹な悪と教えられていたし疑問に思うことなく戦ってきたから、普通に感情のあるちょっと過激で大胆な種族だと、魔界に来て初めて知った。 知ってしまえば無闇矢鱈に手をかけることはできない。愛する人の仲間たちなんだからな。 店というより屋台型のものが立ち並ぶ市場は、食料品が多かった。 中には見たことのない食べ物もあって、眺めているだけでも面白い。 たまに魔族達が喧嘩をしていたが日常茶飯事なのか誰も止めず、そのうち決着がついて、大抵負けた魔族がちらかしたものを片付けていた。 長引いたり他の魔族に被害がでるようなら軍がやってくるそうだ。 そうならなければ放置なのか……なるほど。 上空には空を飛ぶ魔族達が自由に飛んでいて、上から下までどこも賑やかだ。 空に道はないが、降りるところは決まっているようだ。たしかに人混みの中割り込むように降りられたら迷惑だな。 窓辺でパタパタ住人と会話していたりして、魔族はどこまでもひしめいている。 「あ、あれは……!」 そうやって感心しながらしばらく市場ゾーンをブラブラ眺めていた俺は、運命の出会いに立ち止まってしまった。

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