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第199話(sideリューオ)

「仕方ねぇな…………で、俺がシャルを信じる理由だったか」 俺の文句を聞いてやれやれとでも言いたげな魔王だったが、やけに素直に話す気になった。 不遜な態度でふんぞり返ってドヤ顔をし、ニヤニヤとにやけだす魔王。 あっ、察した。 コイツ、俺が振ったからとは言え、シャルのことを考えて頭の中それで満ち足りてやがる。 なぁこれ、余計なスイッチ押しちまったぞ俺。 長いやつだこれ。止まんねぇやつだこれ。めんどくせぇやつだ。 「まず俺達とお前達じゃ、超えてきた修羅場の難易度が違う。シャルは俺がある日、勘違いして身勝手に怒った挙句無理矢理吸血した上に、吸い逃げしても、俺を責めたりしなかった」 「はぁ」 「アイツは俺の体を想って薬効のある花を取ってきて差し出すと、嫌いにならないからって言い聞かせて、落ち着くまでずっと抱きしめてくれるようなヤツだ」 「ひぃ」 「しかも俺が一日ほぼなにも食ってないからって、昨日無理矢理吸血したばかりなのに自分の血を差し出す始末。聞いて驚け、これは付き合う前だぜ?」 「ふぅ」 「そして付き合ってからは、そりゃあえげつない。スキンシップも往来でなければ好きな時に許してくれる。俺に似合うからとちゃんと選んで、いつもプレゼントを贈ってくる。こっそり俺の好みのお菓子を探って、それを作ると多めに持ってきてくれる」 「へぇ」 「お前に色々暴露されてあわや破局ってな時でも、その愛情は変わらねぇ。人違いして魔界に縛り付けていたのは俺なのに、あの森での夜、恩人が他人の自分で俺が悲しんでいるだろうって思ったって、何者でもなくても一緒にいて欲しいって言ってきたんだ」 「ほぉ」 「あぁシャル、優しさを固めて人型にしたような生き物だろ?なんていじらしいんだ。お前はこの時横で大いびきかいて寝てたぜ。大違いだ。同じ種族であるのが恥ずかしいレベルだぜ、お前魔族だろ」 「嘘偽りなく完璧な人間様だコノヤロウイケメン魔王をバチボコに呪いたい系勇者様だコノヤロウ」 「フッ、シャルの良さがわからねぇなんて可哀想な脳筋野郎だ。シャルは結婚してからも、俺をできる限り愛し続けてくれてるぜ。あのクソ絵画にしてやられた時も、シャルを信じられなくなりそうな俺が酷いことを言って怒鳴っても、懸命に一人でどうにかしようって誰にも言えずに悩んで、諦めなかった」 「いやそこまでウェルカムだったらとんでもねぇイカレ野郎だろアイツ」 「そこはまぁ、否定できねぇ。だってシャルは結果バラバ、…………兎に角そんな修羅場をくぐってきた俺は、毎日コツコツと愛されている実感を感じさせられまくってんだ」 「…………」 「そうやって信じられるように、どんな時でも愛してくれた。アイツはいつも俺が不安がる前に、わざと気持ちを口に出すんだよ。不安が恥ずかしいに塗り替えられるけど、おかげでアイツを傷つけなくてすむ」 「…………」 「俺は嫉妬深くて独占欲も強いから、それを表に出して嫌われるのが……いつだって怖い。開き直ったらなにも怖いことはねぇけど、アイツに嫌われるのだけは怖いんだ。アイツはそれをわかってくれているし、俺もアイツがわざとわかりやすくしてくれているって言うのを知っている」 「あ゛〜……」

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