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第201話(sideリューオ)

だけどアイツと話して、構って、触れて、そうしているうちに、もっともっとユリスがまるごと好きになった。 好きになればなるほど焦って、早く俺のものになってくれって思ったのだ。 だから上手く行かなくて四苦八苦して、シャルに相談したり、デートに誘おうなんて考えたり、俺らしくもなく頭を使った。 今はもう、好きだと言う時、本当はいつだってドキドキする。 また断られるだろうって、きっと本気だなんて受け取られてないだろうって、俺だってアイツの言葉や態度に一喜一憂だ。 ドキドキと緊張して胸が痛くなるけれど、それでも目の前にいたら伝えたくなって堪らないから、言っているんだ。 俺はパシッと握った拳をもう片方の手のひらに殴りつけて、濁った臆病風を振り払った。 うし、歩調はユリスに合わせる。 好きなだけ八つ当たりでも泣き言でも漏らせばいい。 俺がそれくらいで冷めたり馬鹿にしたりしねぇ。 受け止められるだけの男だと、信じてもらえるようにしてやりゃよかったんだよな。 シャルを残して俺を追い出したのは、シャルならそのモヤっとした話を聞いてくれると思ったからだろ? 俺はシャルに負けてるわけだ。 ……いや負けてンのかッ……!? バッと頭を抱えてガオウッと魔王に吠えかかる。俺は負けるのが大嫌いなんだよッ! 「ウガァァ……ッ!好みのタイプで魔王に負け、安心感でシャルに負け、ホントにユリスは俺に多少なりとも好意を持ってんのかッ!?よく考えりゃここまでテメェの想像じゃねぇか!推しメンとリア彼揃ってるようなもんだぜ!?」 「いい加減にしやがれよウルセェなッ!お前がユリスのオシメントリアカレってのになればいいじゃねぇかヘタレ勇者ッ!」 「は?テメェ舐めてんのか?推しは概念だぜ?存在しているだけで日々感謝され、笑顔一つでお布施と言う課金を施される上に、見返りはなに一つ求められてない神のような存在だ。俺の昔のダチはな、推し活貧乏で一週間もやし食ってたけど幸せって笑ってたぞ。こちとら概念変えさせるしかねぇんだよオラ」 「お前の言ってる言葉が理解できねぇ」 「とても難しい、以上」 「わかった」 難しいことを理解した魔王は、うぅんと悩み始めた。俺も腕を組んで悩む。 また会いに行きたい。 でもいつも通りじゃまたいつもと同じで、いつまでたっても進めやしない。 事情は説明したんだから、謝って、言いたいことを言ってほしいと言う。 俺の気持ちは変わらねぇし、もっと知りたいからって。 なにかうまいこと俺の本気が伝わる方法はないか、と模索すると、魔王が一つ拍子を打った。 「俺にいい考えがあるぜ」 「…………嫌な予感しかねぇが、藁にもすがる……いや魔王にもすがる思いだ。やってやんよ」 腹をくくった俺は、まず俺の相談のために滞った魔王の仕事が終わるように手伝ってから、大改造悲劇的ビフォーアフターを受ける羽目になってしまった。

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