207 / 615

閑話 疑う余地のない告白

えっ、はぁっ? 突然ひざまずいてなにしてんの? 魔王様に、手伝ってもらったの? お前、気に食わないっていつも畏れ多いこと言ってたじゃない……。 本気だってわかってもらうために、こういうのしか思いつかなかったから? っ、な、なに、馬鹿じゃんっ。 だ、黙って聞けって? う、あ、ぁ……ぅう。 っ!? っ……ん……っ……、そう……。……あ……、!ぇ、あ……、う……っ! ……うん…。 ……っ、うん……、うん……。 っ馬鹿じゃない、の……っ! あぁ、もう、もうっ、……いいよっ。 そ、そんなことまでされたら、頷くしかないでしょ!……泣いてないよっ、馬鹿っ!後で嫌になっても知らないんだからね! ……ふんっ、僕は一途なんだよ! お前みたいに他の子にデレデレしないもん、馬鹿、バーカ。 べ、別に、好みのタイプなんて、それほど重要じゃないんだよ。それを、馬鹿、そんな格好までしちゃって。恥ずかしいやつ……。 嫌だとは言ってないよ。 まぁその……か、かっこいいと、思う。 デレとかじゃないからっ! んん…………ちょっと。 そのまま、ひざまずいたまま、目、瞑って。 ふぅ……、よし。 ……さっきは、ごめんね。僕の知らない間に、お前に仲のいい女の子がいたのかと思って、その、……嫌だった、だけ、だから。 そんなモヤモヤする自分を見られたくなくて、八つ当たりして、追い出しちゃったけど、本当はもう怒ってないよ。 それでね、……ほんとは、デートの下見してくれたのは、その、嬉しかった、から……、……ほんとだよ。 …………僕、お前と、行ってもいいよ。 っだめ、絶対目を開けちゃだめ! 動いたらなしだからね! え?今すぐ押し倒したい? この変態勇者、何馬鹿なこと言ってんのっ。 調子に乗らないでよね。 お前はまず僕になんでも報告すること、お前の全部を僕に教えること。……そしたら僕のも、教えてあげる。…カモ。 ん?まだだめだよ。 ちゃんと目をつぶったまま。 ──……ン、うわっ! ちょ、ちょっとお前僕の言うことが聞けないのっ?動くなって言ったじゃん、何キスくらいで抱きしめてるのっ! 言葉はムリ!言えないの!言えないから、言えるまでちゃんと待っててよっ!も、っん、ん……っ! っ、馬鹿……っ! あの言葉、ちゃんと本気だって僕に信じさせてよね! 『わ、っ私、篝 雄緒は、ユーリセッツ・ケトマゴを、心の底から愛していますっ』 『貴方の空色の髪も、柔らかな耳も、アーモンドの様な瞳も、桜色の唇も、触れたら折れてしまいそうな繊細な手足も、気まぐれに揺れる尻尾も、私はひと目で魅了され、ました』 『だけど、だけど貴方を知るほど、ッ私は、つれない表情がジャムクッキーで綻ぶ時の笑顔も、半端に希望を持たせないようキツく拒絶する優しさも、心を許せば決して見捨てない慈愛も、もっとたくさん、言い切れないくらい、わっ私は貴方自身に、惹かれてやまない……わけ、で……』 『っ……ッだから!冷たくしたって、構わない、全然……構わねェ。傷つけたなんて悩むことねェ、俺は頑丈で馬鹿だから、お前の真っ直ぐな言葉くらいが丁度いい』 『自分を押し付けることは、もうしねぇ。お前の気持ちに寄り添うから、お前の速度で歩くから、俺の好きを信じられるまで、お前が素直に愛されてくれるまで……俺はずっと、待っているから』 『───ぉ…俺のお姫、様に、……な、なって、くれません、か……っ』

ともだちにシェアしよう!