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第507話※微

 絶体絶命。  アゼルに命の危機を感じたのは、初めて戦った時以来だ。  羽織るだけの状態だった夜着の上を、グイッと噛んで項を晒される。  アゼルはあらわになった項を舐め、甘噛みし、俺を懐柔しようと擽った。 「ひぅ……っそ、そんなことをしてもだめだぞっ。それを挿れるのだけは、仕方ないなで許してやれない! 物理的に無理だっ」 『しゃる? なんでそんなに嫌がるんだ? うぅ……俺のこと、きらいなのか? そんなのいやだぁ……っ』 「あっ、ぅ、耳、耳を舐めるのはちょっと、あ、アゼルー……っ!」  キューン、と悲しげに鳴き、アゼルは強請るように耳腔を舐める。  ちょっと待て。  ドサクサに紛れて、入り口をグリグリしないでほしい。  もうなにを言っても言うことを聞いてくれないアゼルに、頑張って受け入れるしかないのか、と覚悟を決めて、自分の身体のポテンシャルを考える。  まぁ、結局のところアゼルが相手なのは変わらない。  アゼルならば、スライム姿だろうが受け入れよう。抱かれること自体はやぶさかではないのだ。  だから俺の人間サイズの後ろに、ペットボトルサイズのアレだって、ちゃんと入るはず。 (……いや、どうしたって裂けるぞ……?)  受け入れる方向性で真剣に考えてみたが、やはりダメだった。  この一回で今後、普通にすらできなくなる予感しかない。  クッ! と涙を飲んで、俺は拳を握る。 「わ、わかった。俺も男だ、できるだけ頑張ろう……! だけど、アゼル……その姿でシたら、もう今後、俺を抱くのは諦めてくれ……!」 「あぅっ……!?」  俺の泣けなしの侠気を集めて、どんとこいと許可の言葉を口にした。  するとアゼルはしょんぼりとした悲鳴をあげ、硬直する。  しかし、これは仕方のないことだ。  括約筋の限界を越えるので、介護が必要な有り様になりそうだからな。  もう締まりが戻らない覚悟である。  そうしていると、急に俺に乗りかかっていたフカフカの身体が光った。 「ん……? っ、ぅあ!? っく、ン……ッ」  そしてなにかおかしいな、と思ったと同時に、強引に中へ突きこまれる。  解れた後孔をトンと一突きにするのは、馴染み深い怒張だ。 「いやだ、ばか、なんでもうしないって言うんだよぅ……! お、おこったのか? いやだ、シャル……っ」 「あぁ……っ、アゼル、やっと人型になったのか? ぁ……ッン、う」 「うう〜。俺が一番、おまえがすきなのにっ……ごめんだから、シャル、馬鹿め……っあ、あきらめないぃ……」  舌っ足らずに泣き言を耳元で漏らしながら、アゼルは俺に甘える。 「んっ……あ、ぁ……」  体内を擦る屹立にゆっくりと中を犯され、押しつぶされる前立腺が快感を疼かせた。  俺は結局話が通じてないことに困ってしまったが、大惨事は回避できただろう。  ふーむ。なんでかはわからない。  甘えたモードの酔っ払いアゼルは、俺の腰を抱き寄せて緩慢な律動を送り込みながら、愛撫した。  耳殻の裏側を舐め、耳たぶを食む唇。  腰を抱く手で胸元の飾りや濡れそぼった陰茎を擦り、俺の反応をつぶさに観察する。  酔っていようがいまいが、アゼルの手管はいつも巧みだ。 「お、怒ってないぞ? 俺は、っ、ん……はぁ……っ」 「お前を一番好きな俺を、諦めちゃだめだぁ……! 俺よりお前が好きな奴は、いない、いない……、ふっ、シャルぅ……っ」 「ん……っ、は、それは知ってるとも。それはそうと、なんで、あっ、そ、そうなったんだ? っ……ひ、ん、っ……あ、ぅ」  俺の弱点を的確に攻める執拗なものだから、俺は喘ぎ声に邪魔をされて、うまく二の句が告げなかった。  どうにか解読すると、俺が怒っていると思ったみたいだが、ちっとも怒っていない。  困っていただけだ。  嫌がってもない。  アゼルにされて嫌なのは、俺を嫌うことや、俺以外を選ぶことぐらいだな。  諦める云々はええと、俺が今後諦めてくれと言ったからか。  それはお前に言ったんだぞ。  俺がお前を諦めるわけがないのに、いつの間にそんな解釈をしたんだ。  それだけはありえない。  わかっているくせに、どうしてそんなことを不安に思ったんだろう。 (むむむ……俺の気持ち、解釈違いだ)  アゼルは小さな声でだが、もにゃもにゃと〝俺も告白する〟〝俺が一番好き〟〝俺以外に好かれちゃダメだ〟と言うことを伝えてくる。  ということは、昼間の騒動をどこかで聞いていて、持病の暴走癖が刺激されたのだ。 「んっ……う……お、前、俺が告白、されたのっ……知ってたの、か。ん、あっ、ぅ……」 「! うぅぅ〜……っ! そう、俺に隠し事、しちゃだめだっ? おれはおまえ、ううっ、おまえがだいすきぃ……っ」 「っぁ…っ! ンっ……なるほど、く、アゼル、っあぜる、こっち……っ」

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