508 / 615
第508話※
ようやくアゼルがしょげていた理由を知った俺は、アゼルに声をかける。
拘束された体を仰向けに返してもらうと、グリュ、と中のモノが擦れて、敏感な粘膜がうねった。
覆いかぶさるアゼルの影になって薄暗い視界で、アゼルは眉根を寄せて瞳を潤ませる。
「シャル……俺以外に、好きって、言われんなよぉ……」
「ふっ……」
アルコールで頬を赤くして、いつもより蕩けた目をした彼が、情けない顔で俺を見ながらクゥンと鳴いた。
俺はつい、吹き出してしまう。
笑われたアゼルは、余計に泣き出しそうになった。
額をコツンとぶつけ、笑うなと抗議を込めて擦り付けられる。擽ったいぞ。
手が使えないから、仕方がない。
後ろ手に拘束された腕は動かせないので、そっと首を伸ばし、アゼルの唇にチュ、とキスをした。
「ん、ぅ……? ん」
「ン……ふふ。告白はきっぱり断ったに決まっているだろう? 一瞬だって迷わなかった」
もう一度キスをする。
汗ばんだ肌が触れ合う行為も、特別なのだ。
あわや大怪我、なんて騒動もアゼルだから、仕方ないなと笑ってしまう。
「お前が一番俺を愛していること、俺が一番お前を愛していること、とっくにご存知だからな」
「っ、ぁうぅ……ほ、ほんと、か?」
「ほんとにほんとだ。……酔っていても、ちゃんと覚えているんだぞ? お前以外にこんなこと、許すわけない」
少しドヤ顔でにんまりと笑って見せ、極めつけに内壁を蠢かせ、キツく締め付けてやった。
そうするとアゼルは、姿を戻しても狼の耳が見えそうな程わかりやすく破顔する。
嬉しげににへら〜とした笑顔を返し、感極まったように俺の足を抱えて、ぎゅーっと抱きついた。
「シャル、かわい〜……ん」
「っん……ぁ、う……」
触れるだけじゃ足りないとばかりに、荒々しいキスに唇を奪われる。
かわいいのはお前だろうに、と言い返す間もなく、入り込んできた舌が口内をくまなく味わった。
呼吸がままならず、鼻から抜ける吐息が熱を持つ。
腕を回せないのがもどかしい。
したがりの性が疼いて、抱きしめたくてたまらなくなってくるのだ。
けれど言葉は独占欲の強い子犬に食い尽くされて、伝えられない。
ゆっくりと再開される律動が、背筋を粟立てる。腰の痺れが瘙痒感をもたらすのだ。
「はっ……っう、ンん……ん……」
焦れた俺が足を回して抱き寄せても、アゼルはちっとも気がつかない。
終始にへにへぐるぐると唸り、俺の背骨や乳首を指先で捏ねて、舌を絡め、離さなかった。
スローな突き上げが、意識を無理矢理敏感な襞へ集める。
相変らず、人型でも喉元まで押し上げられるような長大な怒張だ。
いつも口から出るんじゃないかとか、腹が突き破られるんじゃないかだとか、密かに思っていた。
なのに二、三倍はありそうな凶器を挿れるなんて、串刺しになってしまう。
そう思うと、改めてほっとした。
「ん、ぁ……っ」
「うぅー……」
ふっと息を吐くと、ようやくくアゼルの舌が俺の口内から引き抜かれる。
肉厚の舌はそのまま火照った首筋を舐め上げ、唾液の糸が顎を伝って溢れた。
「シャル、俺のこと、好きか? いっぱい、好きか?」
「ぁ、ん……っ好き、だ、いっぱい好きだぞ……? っ、ん、あ」
「ふふん、ふふふん。シャル、じゃあ、な? 俺に、してくれよう……?」
「ん、ん……っ?」
くぅん、と鼻を鳴らす。
爪の先でキツく潰された乳頭の僅かな痛みと、じんわりと広がる快感に、背筋が丸くしなった。
浅い箇所をかき回し、中のしこりを狙って引っ掛け、煽ってくる。
言っていることは甘えたなオネダリなのに、やっていることが意地悪だ。
「そしたら、もっとがんばる。いっぱい、うぅ〜……こくはく、おれにして……? いいだろぅ、だいすきだもん……」
「ひぅ、あ……っ」
互いの体の間でドク、と質量を増した肉茎の先端から、蜜が零れる。
汗や淫液でグチャグチャとぬかるんだ腹筋を更に濡らし、筋肉の凹凸をなぞった。
もう少し強く肉穴の奥を突いてくれればイけるのに、それをしてくれない。
一定のテンポで襞の一枚一枚を丁寧に擦り上げながら、胸筋ごと解すように乳首を嬲られる。
「ふ、ぁ……っアゼル、ん、ひ……」
「お願いだぜ、おねがい……?」
子犬状態でも、最中の意地悪スイッチは無意識に入るらしい。
ともだちにシェアしよう!