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第508話※

 ようやくアゼルがしょげていた理由を知った俺は、アゼルに声をかける。  拘束された体を仰向けに返してもらうと、グリュ、と中のモノが擦れて、敏感な粘膜がうねった。  覆いかぶさるアゼルの影になって薄暗い視界で、アゼルは眉根を寄せて瞳を潤ませる。 「シャル……俺以外に、好きって、言われんなよぉ……」 「ふっ……」  アルコールで頬を赤くして、いつもより蕩けた目をした彼が、情けない顔で俺を見ながらクゥンと鳴いた。  俺はつい、吹き出してしまう。  笑われたアゼルは、余計に泣き出しそうになった。  額をコツンとぶつけ、笑うなと抗議を込めて擦り付けられる。擽ったいぞ。  手が使えないから、仕方がない。  後ろ手に拘束された腕は動かせないので、そっと首を伸ばし、アゼルの唇にチュ、とキスをした。 「ん、ぅ……? ん」 「ン……ふふ。告白はきっぱり断ったに決まっているだろう? 一瞬だって迷わなかった」  もう一度キスをする。  汗ばんだ肌が触れ合う行為も、特別なのだ。  あわや大怪我、なんて騒動もアゼルだから、仕方ないなと笑ってしまう。 「お前が一番俺を愛していること、俺が一番お前を愛していること、とっくにご存知だからな」 「っ、ぁうぅ……ほ、ほんと、か?」 「ほんとにほんとだ。……酔っていても、ちゃんと覚えているんだぞ? お前以外にこんなこと、許すわけない」  少しドヤ顔でにんまりと笑って見せ、極めつけに内壁を蠢かせ、キツく締め付けてやった。  そうするとアゼルは、姿を戻しても狼の耳が見えそうな程わかりやすく破顔する。  嬉しげににへら〜とした笑顔を返し、感極まったように俺の足を抱えて、ぎゅーっと抱きついた。 「シャル、かわい〜……ん」 「っん……ぁ、う……」  触れるだけじゃ足りないとばかりに、荒々しいキスに唇を奪われる。  かわいいのはお前だろうに、と言い返す間もなく、入り込んできた舌が口内をくまなく味わった。  呼吸がままならず、鼻から抜ける吐息が熱を持つ。  腕を回せないのがもどかしい。  したがりの性が疼いて、抱きしめたくてたまらなくなってくるのだ。  けれど言葉は独占欲の強い子犬に食い尽くされて、伝えられない。  ゆっくりと再開される律動が、背筋を粟立てる。腰の痺れが瘙痒感をもたらすのだ。 「はっ……っう、ンん……ん……」  焦れた俺が足を回して抱き寄せても、アゼルはちっとも気がつかない。  終始にへにへぐるぐると唸り、俺の背骨や乳首を指先で捏ねて、舌を絡め、離さなかった。  スローな突き上げが、意識を無理矢理敏感な襞へ集める。  相変らず、人型でも喉元まで押し上げられるような長大な怒張だ。  いつも口から出るんじゃないかとか、腹が突き破られるんじゃないかだとか、密かに思っていた。  なのに二、三倍はありそうな凶器を挿れるなんて、串刺しになってしまう。  そう思うと、改めてほっとした。 「ん、ぁ……っ」 「うぅー……」  ふっと息を吐くと、ようやくくアゼルの舌が俺の口内から引き抜かれる。  肉厚の舌はそのまま火照った首筋を舐め上げ、唾液の糸が顎を伝って溢れた。 「シャル、俺のこと、好きか? いっぱい、好きか?」 「ぁ、ん……っ好き、だ、いっぱい好きだぞ……? っ、ん、あ」 「ふふん、ふふふん。シャル、じゃあ、な? 俺に、してくれよう……?」 「ん、ん……っ?」  くぅん、と鼻を鳴らす。  爪の先でキツく潰された乳頭の僅かな痛みと、じんわりと広がる快感に、背筋が丸くしなった。  浅い箇所をかき回し、中のしこりを狙って引っ掛け、煽ってくる。  言っていることは甘えたなオネダリなのに、やっていることが意地悪だ。 「そしたら、もっとがんばる。いっぱい、うぅ〜……こくはく、おれにして……? いいだろぅ、だいすきだもん……」 「ひぅ、あ……っ」  互いの体の間でドク、と質量を増した肉茎の先端から、蜜が零れる。  汗や淫液でグチャグチャとぬかるんだ腹筋を更に濡らし、筋肉の凹凸をなぞった。  もう少し強く肉穴の奥を突いてくれればイけるのに、それをしてくれない。  一定のテンポで襞の一枚一枚を丁寧に擦り上げながら、胸筋ごと解すように乳首を嬲られる。 「ふ、ぁ……っアゼル、ん、ひ……」 「お願いだぜ、おねがい……?」  子犬状態でも、最中の意地悪スイッチは無意識に入るらしい。

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