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終皿目 本日のディナーは勇者さんです。おかわり。 ごちそうさま。
精霊城に乗り込んで大事な儀式を魔王城メンツ総出でぶち壊し、魔族らしく侵略して蹂躙した、後日談。
魔界軍の援護を得て二人で挑んだ結果、神霊には勝利できたので、うまく鍵をしめ直すことに成功した。
神扉が閉まって消え、シン……、と静まり返った広場にゴクリと固唾を呑んだ精霊族は、直後に大歓声を上げてお祭り騒ぎだ。
力に任せてドーンするというアゼル戦法が身にしみている血気盛んな魔界軍も、殺さず傷もあまりつけず制圧、という高難易度の任務から解放され、便乗騒ぎ。
リューオは生ユリスに抱きつき、思いっきり殴られていた。
殴ったユリスだがリューオに会えなくて寂しかったのか、ツンケンしながらもぎゅっと抱きついていたので、こちらもハッピーエンド。
ガドはタローを乗せて喜びの飛行を見せる。
二人はキャッキャと笑っていたのだが、俺からするとあれは拷問に等しい最凶コースターだ。
空軍長官が空を飛ぶのだから、当然空軍は便乗して空を飛ぶ。
信号機カラーな竜人三人組であるアリオ、オルガ、キリユも帰りのスタミナを考えない飛行を見せ、後で目を回していた。
ふーむ。
天界に行った時もこうだったな。
広場の瓦礫のそばには、目を回した空軍の竜が積み重なっていたぞ。
そんな空軍に回復魔法をかけて広場の後始末を容赦なく命じるライゼンさんがいなければ、傷一つない屍が山となっていたはずだ。
精霊族にも順に回復魔法をかけていくライゼンさんは、小柄なノーマリアの少年司祭であるルノを筆頭に、司祭の尊敬を一身に集めていた。
そうそう。
それから、俺は初めて会った陸軍長官。
語尾にハートがつきそうな勢いで精霊族を昏倒させる、明るい金の髪とタレ目の色男だ。
しかし戦闘が終わった後は、実に親しみやすいチャラ男であった。
『あ! ドスケベ人妻お妃ちゃぁん〜。俺っちマルゴリー・マルゲリーテ! 気安くマルちゃんってよんでちょ! エロ関連情報はなんでも聞いてくれちゃって〜っ』
『ど、ドス……? えっと、俺はシャルだ。お妃ちゃんはやめてほしい。よろしくな、マルちゃん。……それはさておき、ドスケベとは』
『氷、氷結。凍結牢』
『あふんッ!』
『!?』
しかし陸軍長官ことマルちゃんは俺の質問に答えようとした瞬間、ゼオに魔法を放たれ、氷漬けと化す。
ゼオは俺に『こいつの言うことは百パーセント真に受けないでください』と言って、去っていった。
その視線はまさに絶対零度。
触れてはいけないと察した俺だ。
ちなみに瓦礫の片付けを行っている間、マルちゃんは結局ずっとオブジェであった。
軍魔は誰一人触れなかったのが怖い。
精霊族は怯えて見ていたが、俺と同じく触れてはいけないと察して目を合わせないようにしていた。
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