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21:誓いの噛み痕
『今日、お前を抱きたい。イリ』
抱きしめられながら耳元でそう囁かれて、イリはずっとそわそわしていた。何をするにもターリャの言葉が頭から離れなくて。お風呂は、いつも以上に念入りに身体を洗った。
ピッカピカの身体でベッドの上に座り、ターリャが部屋に戻ってくるのを待つ。
今日の事件があり、後始末のために戻るのが遅くなると言われていたが。これほど、ターリャの帰りが待ち遠しいと思ったことがあっただろうか。
部屋に近づく足音が聞こえる度に、ターリャかと思い背筋をピンとする。まぁ、違かったのだが。
「待たせたな。イリ」
イリが待ち始めてから1時間以上は経っただろうか。少し疲れたようにターリャが帰ってきた。
ま、ってないよ。
「嘘をつくな。ライタから、今日は身体を念入りに洗っていると聞いたぞ」
身体を念入りに洗ったことをターリャに知られていて、イリは一気に顔を真っ赤にした。イリのそんな姿を見て、ターリャが色気を含んだ笑みを浮かべた。
ターリャのそんな笑みを見るのは初めてで。初めて感じる熱が、イリの身体を駆け巡った。
「イリ」
イリの隣に座ったターリャが、そっと頬に手を添えてきた。自然にその手に擦り寄れば、慣れた手つきで項に手が流れていく。
「まっさらだな。イリの項は」
あたりまえだよ、たーりゃ。
「――――――ここに、噛み付いていいんだな。お前は俺のものだと、印をつけていいんだよな」
ターリャのブルーの瞳から、ホロリと涙が零れた。その涙を見たイリの瞳からも、同じように涙が零れる。
たーりゃ。あいしてる。
「俺も。イリを誰よりも愛している。俺の、愛しいΩ」
ターリャがグッとイリの項に顔を近づける。ターリャが噛みやすいように、イリは首を傾けた。
ターリャはずっとこの時を待ち望んでいた。イリと番になれる日のことを。
やっと。やっと、このキレイな項に誓いをたてられるのだ。一生、イリを愛するという誓いを。
「これでもう、お前は俺のものだ。イリ」
ターリャのその言葉を最後に、イリの項に一気に熱が集中した。
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