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第13話

 どうせ、また。  知らない人と一緒にいると思います。  小生が、勝手に孕んだ……?  違います。  朱音さんが、勝手に孕ませたんです。  小生だって、本当は子供は作りたくありません。  でも、出来てしまったのだから。  仕方がありません。  ちゃんと育てないと、と思います。  だけど、朱音さんは違います。  朱音さんは、無関心です。  最初の頃の優しい人は、嘘だったのです。  自分勝手で。  周りが見えていない人です。  彼の中には、彼しか存在していなくて。  他は存在しないのです。 「っ、ぅあっ」  小生は、涙が止まりません。  止まってくれません。 「ぅぁぁぁぁぁあああああああああああああああんんんんん」  もう耐えられません。  もう耐えたくありません。  小生は。  小生は―― ⊿  しばらくしたら、涙が止まりました。  すると、急にお腹が痛くなりました。  お医者様に連絡をしました。  少しすると、お医者様が来てくれました。 「予定日よりも少し早いけど」  お医者様の言葉に、小生は小さく頷きます。 「あの……、その」 「……パートナーは? こんな大事な時にいないって、どうかと思うよ」 「出かけました……。きっと、女の人です」 「え?」 「っ、ぁ」  お腹の痛みで、小生はあまり話せません。  お医者様は、小生に聞こうとしますが。  今はそれじゃない、と出産の準備をしてくれました。 ――そうか。  お父さんの顔を見ることができない。  そう言ったから……。  お腹の子は、見たいと思ってくれて。  こんなに早くなってしまったのでしょう。  痛みや苦しみ、不安、全てが混ざって。  小生は涙を流しました。 ⊿ 「お疲れ様。よく頑張ったね」  お医者様の言葉で、小生はハッとしました。  途中で気を失っていたか、眠っていたみたいです。  お医者様は、優しい声で小生に言います。 「元気な女の子だよ」 「女の子……」 「葵くんと同じ髪、耳、尻尾だね」 「…………」  生まれたばかりの子は、小生と同じでした。  目は、朱音さんと同じ。  でも、他は小生と同じ。 「今はまだ、細かい性別は判らないから、二週間後、医院に来てくれるかな?」 「……はい」 「? どうかした?」 「いえ、安心しました」  朱音さんに、似ていなくて安心してしまいました。  少し前なら、慌てていたはずなのに。  今は、とても安心しています。  愛しく感じます。  とても、とても。 「ありがとうございます」 「ん」  お医者様は頷き、赤ちゃんを小生に渡します。 「しばらく抱きしめてあげなさい」 「はい」  近くで見ると、本当に愛しくて。  大切に育てよう、と思いました。 「産後疲れもあるし、一週間は安静にね」  じゃ、とお医者様は笑って、小生の頭を優しく撫でて、帰りました。

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