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第4話

 黒の元に戻って来た白だが、仕事はしなければならない。基本は家に居れるが、定期的に討伐の連絡が入るとピンチヒッターとして向かわなければならないし、芸能事務所からもどうしても来てほしいと言われれば断れない。 「黒さん。僕、今日はお仕事なんです……」 「そうか。いってらっしゃい」  朝食の時に予定を伝えれば、黒は快く送り出す。  以前は外に出ると危険だと、よく止められたが、今ではこの近辺の獣や魔物ぐらいなら平気で倒せる実力はつけているので止められる事は無くなった。 「毎回、職場との往復は大変では無いか?」 「別に平気ですよ。また街に住めばと言うんでしょうけど、僕は黒さんの側が一番落ち着くんです。黒さんが一緒に街に出てくれると言うなら考えるけど……」  白は少し、不貞腐れた様な顔をする。 「俺みたいなのが街に行ったら討伐組に直ぐに討伐されてしまうさ」  黒は自嘲した様に鼻で笑った。 「僕もそれは困ります。だからこれからも黒さんと二人で此処で暮らしたいんです」 「解った」  真剣な顔で言う白に、黒は頷くのだった。   そのうち出たくなったら出ていくだろうが、今の所は一緒に居てくれる様で、黒も嬉しかった。  仕事に行く白を見送る。  そして黒はいつもの様に畑仕事に向かうのであった。  白の今日の仕事は討伐組の方である。境界線付近に魔物が集まりだしていると言う不穏な動きを察知したそうで、その偵察にと駆り出されたのだ。  白の美貌は街では有名で。美し過ぎる討伐組の隊員として何故かテレビに追いかけ回されたりもする。  作戦会議で戦法を決め、数人に別れて森に入る。  白にはテレビカメラを撒くという任務も加算されているので、気付くと結局一人での行動になってしまうのだが、白の場合はそっちの方が動きやすい。  白はシールドで隠された敵の集会場所と思しき場所を発見し、直ぐに仲間に連絡を入れた。  白は気付かれない様にシールドの中に入る。  そこには沢山の魔物が集まっていた。中心に居るライオンの様な獣が指揮官の様だ。あれが新しい魔王であろうか。  そんな事を考えていると、不意に指揮官であるライオンと目が合った。  しまった。気づかれた。  白は直ぐに防御姿勢をとったがライオンの方が早かった。防御が間に合わない。気づくと組み敷かれていた。    ライオンの顔が近づく。このまま喉を噛みちぎられるかも知れないと思った。 「仲間は既に呼んである」  恐怖を悟られない様に声を張り上げ、白はライオンを睨んだ。 「お前、魔王の居場所を知っているな?」  そうライオンは唸る。  魔王?  魔王はお前じゃないのなのか?    ベロリとライオンに頬を舐めまれた。気持ち悪い。 「白ーー!! 大丈夫か!!」 「討伐組だ!!」  白の仲間が次々とシールドを破って入って来る。  ライオンは即座に白から飛び退き、「総員撤退だ」と、声を張り上げ踵を返した。  討伐組と魔物の攻防の中で、ライオンの姿を追うことは出来なかった。

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