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第9話 R18

 黒はいつもの様に自分ベッドで眠っていた。  ギシっと、重みを感じ目が覚める。  何だろう、金縛りだろうか。  色々疲れたのかも知れない……  黒はそんな事を考えてい再び瞳を閉じようとした。  ペロペロと何かが頬を舐める。  変わった金縛りだ。  いや、これは金縛りではないな。 「白?」  目を開けてもう一度確かめる。やっぱり白だ。  小さい頃、よく寝ぼけて部屋に入ってくる事があった。怖い夢を見たとか。  白も今日は色あって疲れたのかも知れない。それで寝ぼけてこんな所に来てしまったのだろう。 「おいで」  黒は白をベッドに招き入れ、二人で眠る事にした。  白が小さい頃はそんな事は無かったが、ベッドが狭い。  白を自分の上に乗せないとベッドには収まりきらなかった。    大きくなったな。それに重くなった。  黒は愛おしそうに白の頭を撫でるのだった。 「白!?」  ペロペロとまた舐めだした白に焦る。  そこは…… 「ん、だめだ。そこは……」  黒の寝間着はティシャツに半ズボンである。ティシャツは薄く、白の舌の感触がありありと伝わってしまう。 「んん…あ……」  何で……  変な声が漏れてしまい、口を抑える黒。  白に舐められているのは乳首である。  乳首を舐められた所で何でもない筈なのに、そこから甘く痺れる感覚がピリピリと黒を襲った。 「白、やめ……」  そんなにチューチュー吸われても、今はお乳は出ないのである。そもそも白にはもうお乳は要らないだろう。 「くろ?」  白はチューチュー吸っていた乳首から唇を離し、黒を見つめる。  やっと目を醒ましてくれたかと思い、ホッとする黒。 「白、寝ぼけているのか?」 「ん…… 黒からいい匂いする……」  何処かウットリする様に言われ、ハッとした。  発情している?  まだ時期ではない筈なのに。しまった。薬は何処にやった??  黒はハッとして抑制薬の場所を思い出そうとした。しかし、以前の発情期から20年程立っている。思い出せない……  基本、発情期は100年間隔であり、そもそも以前の発情期の時は一人であった為に薬など飲まずにやり過ごした事を思い出した。  そもそも抑制薬を持っていない。  そう、黒のバース性はΩなのだ。  黒は半獣であり、半獣はその殆どが獣の様な弱い魔物になるのでバース性はΩになってしまう。だが優秀な半獣ならば、その殆どはα性もしくはβとなる筈なのだが、何故か黒はΩ性となってしまっていた。  周期は100年毎と乱した事など無かったのに、何故こんなに早く来てしまったのか。黒は混乱する。そして目の前の白はαだ。  マズイ。早く逃げなくては…… 「すごい、黒、良い匂い。僕の子供産んで欲しい……」 「白、ダメ…… あ、やめ……」  白は完璧に正気ではなく、αの本能で動き、黒に馬乗りになるとワイシャツを破いてしまう。 「わぁ……可愛い乳首」  そう言って、ダイレクトに乳首を舐めはじめてしまう。 「あ! ヒアッ…… やめっ……」  何故、乳首でこんか声を上げてしまうのか、黒には解らない。だだ気持ちよくなってしまう。  黒は半獣であり、人間らしい部分が出てしまう場所はに個体差があるものの、黒が人間らしくなってしまったのは、主に体、服で部分である。  腕や足、首から上は獣であるが、それ以外の場所は人間の様である。  褐色の肌にであるが、乳首は可愛らしいサーモンピンクでる。    その可愛らしいく主張している乳首に白はむしゃぶりつき、片方は指先で遊ぶ。  白を拾ったのは魔物の黒にとっては発情期の直ぐ後の様なものであり、黒は珍しく発情期が終わった後に子育てをする為の母乳が出てしまうタイプであった。  Ωの雄は妊娠しても母乳が出せない個体も多いため、稀にそれらに成り代わり母乳を与える為、妊娠しなくても発情期の後、暫く母乳が出てしまう個体が出るのである。それが黒であった。  黒はその母乳を白に飲ませて育てたのだ。  だから白はそれを覚えていて、今、乳首を必死にしゃぶっているのであろうが、流石に20年も経てば母乳は出ない。  そもそも白に与えてしまって出尽くしてしまった。  また発情期が終われば出るのだろうが…… 「んん、あっ、はぁ…… 乳首、出ないから…… 白、やめ……」  白が赤ちゃんの頃、母乳を与えていた時は勿論、こんな声は上げなかった。  何故、今はこんなに気持ちいいのだろう。  あの時は痛いだけであったのに……  発情期だからか…… 「ん、黒、大きくなってる……」  白の手が下半身へと伸び、黒の股間を弄る。  そんな、乳首を舐められただけでこんなにしてしまうなんて……  白が己の欲望に触れられていると思うと、黒は何だか羞恥心と申し訳なさで泣きそうになってしまう。   「も、イヤだ……」 「黒、僕のも大きくなった……」  そう、白は黒の太腿に己の張り詰めた物を押し付けた。 「ヒアァ! ふえ??」  待ってくれ、これがこの可愛い白の陰茎だと言うのか…… 大き過ぎる……  黒の下半身についている物は人間のソレであり、またΩである黒の物は見た目に大して然程大きくないのだ。  それにしたって、獣程も有る様に思えるソレは、黒にとっては凶器でしかない。  初めて白が怖いと思った。 「黒、僕の子供を孕んで」  そう耳元で囁く白は、黒の短パンまで破いしまう。 「ヒッ! ダメ!! イヤだイヤだ!!」  黒は恐怖に震え、首を振った。  黒は半獣である。人間のαとは交われない。交わってはいけないのだ。  人間のαと交われば、自分は魔族の力を失い、容姿ももっと人間寄りになってしまうと言われていた。  獣のαと交わるならば、完璧な魔族となり、力も増すとも……  だから絶対に人間とは交わってはいけないと何度も教え込まれた。  黒は人間になるのが嫌な訳ではない。ただ白に襲われ、人間よりになってしまえば、白は他の魔物達に断罪され、きっと殺されてしまう。そうなった時に守ってやることが出来ないのだ。  それが恐ろしかった。  だから何としても阻止しなければと思うのた、黒の頭も徐々にΩの本能に支配され白の子供を孕みたい、沢山中に出して欲しいと思うようになってしまう。   拒みたいのに、体に力が入らないのだ。 「すごい…… 黒のここ、ぐちょぐにょでヤラシイー」 「言うなぁ…… ああ…ヤダァ……」  白の指が黒の中に入る。イヤイヤと首を振る黒だが、白の指先は的確に黒の前立腺を刺激するのだ。 「ヒアァ!ァ!アァ…… うアッ!」  気持ちいい、ダメ。もっと太くて長いので奥までついてほしい…… 「黒の中に入れたい……」 「ん、入れて…… 孕ませてくれ……」    黒の本能に支配されてしまった。    白の大きく、硬いソレが黒の熟れた蕾にあてがわれる。   アァ…… 白と一つになれる。白の子供を孕める。  そう思うと幸せを感じた。 「王!! この、貴様!!」  バン!! と、扉が開き、ラオンが飛び込む。  間一髪の所で黒と白を引き離した。 「ラオン?」  驚いた様な黒の艶かしい姿にラオンは目をおおいたくなった。    城まで戻ったラオンだったが、直ぐに黒の匂いが変わった事に気付いた。   それはマーキングしていたからだ。  発情期に入った匂いだと直ぐに解る。しかし早すぎると思った。  黒は発情期に無頓着すぎ、直ぐに抑制薬もなくしてしまう為に、その管理をラオンがしていた。  兎に角早く向かわなければと、黒の抑制薬を持ち急いで戻って来たのだ。   人間と交われば、黒の魔力は失われてしまう。    何とか間に合ったラオンは、抑制薬を黒に飲ませる。  すぐに効く頓服薬も合わせて飲ませたので、直ぐに匂いはおさまったが、匂いがしなくても全裸の黒の発する艶かしいさは消えない。  ああ、今すぐベッドに押さえつけ、自分が犯してしまいたい。そんな衝動に襲われるラオン。  力の入らない様子の黒をシーツでくるんだ。 「あれ? 僕…… えっと……」    やっと正気にもどった白は此処が何処で、自分は何をしてしまったのかと考える。  夢を見たのだ。とても官能的か夢を。  艶かしい姿の黒に誘われるままに、抱き潰す夢であった。  しかし此処は黒の部屋。  僕はまさか……  ハッとして起き上がれば、目の前には黒を抱き、立ち去ろうとするライオンの姿。  黒はグッタリとし、意識を失っている様であった。 「黒!? まて! 黒をどうする気だ!!」  焦って叫ぶ白だったが、ラオンはその声を無視し、そのまま黒を掻っ攫って走り去ってしまう。  慌てて追いかけようとする白であるが、人間である白の走がライオンの走りに追いつける訳もなく、直ぐに見失ってしまう。 「黒ーー!! 黒ーー!!」  そう何度も名前を呼んだが、返事が帰ってくる事は無かった。 

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