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第12話

 南の大陸に着いた白であったが、驚いたのは、色白で金髪碧眼の人が沢山いる事である。自分のルーツはもしやこの国に有るかも知れないと思ったが、今は自分のルーツを調べてる余裕等ない。  取り敢えず町を回る。直ぐに『魔王を倒す為に貴方も勇者に!』みたいな幟を見つけ、そこで話を聞いた。  勇者希望者では全く無いが、勇者に興味が有る素振りで検査を受け、勇者希望者として名前を記入すると、直ぐにマップの様な物を渡され、「さぁ!頑張ってね!」等と応援された。  境界線の更に奥地、『この辺に魔王の城』とか、『この人に話を聞こう!』みたいなのが載っている。  取り敢えず、白はそれに従って進む事にするのだった。  白は元々地元の討伐体の中でも群を抜いて優秀な人材であり、あれよあれよとコマを進めていた。 「アンタ以前の勇者にソックリだねぇ」 「生まれ変わりかも知れんなぁ」  等と言われ、その噂は大陸中に広がり、こんな所でもテレビに追いかけ回されるハメになってしまった。   しかも途中から何故か命を狙われだし、意味が解らない。  白は取り敢えず自分の命を守りつつ、道を急ぐのだった。 「ああ、会いたかったわ。私の子シャルル」 「え!?」  三日目の事で有る、急に城からの使者がやってきて、跪くと一緒に来て下さいと言うのだ。  困った、城への道はだいぶ目的地から外れてしまう。  それで白は首をふったのだが、ならば力ずくで! と、何故か10人もの兵士に取り抑えられあれよあれよと言う間に城へと連れてこられたのである。  そして病床の妃様の元に連れていかれ、妃様はそう呟いたのだ。 「貴方は私の子、シャルル。王様の子供よ。生まれて直ぐに誘拐された…… きっと同時期に妊娠してもいた妾の女に嫉妬されたんだと思うわ。よく生きていてくれたわね」  妃はおいおいと涙を流しながら、白を抱きしめるのだ。 「えっと、母上?」 「そうよ。貴方の母よ」 「ママ?」 「そうよ。貴方のママよ」 「かぁさん?」 「そうよ。貴方の…… あかぁさんは言葉が良くないから辞めなさいね」 「はい……」  白は何度も確かめる。この人が僕のお母さん。 「信じられないのならDNA検査の結果を見て」 「いつの間に……」 「貴方がこの国に入った時よ。勇者の記名は元気な青年と決められているから健康診断をしたでしょ? 貴方があまりにも前の勇者に似ているからと検査をしてくれたの。前の勇者は先先先…… 忘れたけど、そのくらいの代の王様なのよ。だから、もしかしてと思ったのね」 「そうなんですか」  ほへーと、その結果を見る。王と妃のDMAと自分のDMA結果は99.9%血縁関係にあると出ていた。 「残念な事に前王は既に他界して、今は妾の息子が王よ。でも妾の子でしょ。だから国民の人気が無くて魔王を討伐して名を上げようと躍起になっているわ。私はこんな体でしょ? 貴方を助けてあげられない。ごめんなさいね」 「いえ、それは全然。母上に会えただけで幸せです」  もしややたら命を狙って来たのはその妾の子供である王の手先だろうか。    白はそんな事を考える。 「優しい子。もし力をつけて魔王討伐出来るほどに腕を上げたならまた来なさい。特別な飛行機が有るの。向こうには見えない、見つからない飛行機よ。それで魔王の城まで一飛び。でも急に魔王の元に行くなんて危険だわ。森の中で修行しつつ行くのが無難ね。検討を祈るわ」 「今すぐその飛行機を貸してください!!」 「え!?」  白は思いっきり母親の手を握り締めるのだった。  

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