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*5.出会い③
あっという間に達しそうになるのをなんとか堪え、彼の髪を掴んで口から離させる。乱暴に押し倒すと、肩を押して四つん這いにさせた。
白坂の後孔は入念に慣らされ、潤滑剤で妖しく艶めいていた。奏太は避妊具を付けると、反るほど勃ち上がった陰茎を一気に根元まで埋め込んだ。
「――アアァッ」
白坂の悲鳴のような嬌声が室内に響く。彼はすがるようにシーツを握りしめ、背中を反らせて耐えている。軽く達したようで、中で痙攣するように奥から不規則に奏太自身を締め付けた。たまらず、奏太も小さく呻く。
「うわ……なんだよ、これ……ッ」
「ひあぁッ、アッ、やぁ……ぁッ!」
腰を打ち付けるたび、白坂は淫らに喘いだ。彼は理性も投げ出して、身体を捩 らせる。そんな姿を見て制御できるわけもなく、奏太は肌と肌がぶつかる音を響かせながら白坂を何度も貫いた。
「んぐ、ひっ……な……ぁ、ッ、んん……、乳首も、弄って……ぇ」
目に涙を浮かべて懇願してくる白坂。奏太は、彼の胸に手を回すとぷっくりと熟れた彼の乳首を乱暴に捻った。痛がって逃れようとする白坂をねじ伏せて、奥を突いてやると、ぽろぽろと涙を零しながら悦んだ。
「あぁぁッ……、それ……、イイッ、イく……イっちゃ……――ひァァッ!」
盛大な喘ぎ声とともに、白坂は己の下腹部に白濁を散らした。それと同時に奏太も彼の体内で果てた。
(マジかよ、これがシラマかよ……)
ぜえぜえと肩で息をしながら、組み敷いた男を見下ろした。白坂は汗だくになってまだ熱っぽい目を空に泳がせていた。奏太は自身を白坂から引き抜くと、興奮を引きずったままその身体に抱きついた。
「なあ、すごくよかったよ」
しかし触れた瞬間、その身体を粗雑に押し返される。そして彼はこちらを拒絶するように背を向けるようにして起き上がった。
「悪い、急いでるから……」
白坂の一言は、奏太の興奮を冷めさせるには十分だった。白坂は黙ってベッドから出るとさっさとシャワーを浴びて、身なりを整えて出てきた。来た時となんら変わらない格好。白坂はその格好で授業をして、会ったばかりの男とセックスをし、帰りを待つ家族の元に帰るのだ。
「……じゃあ」
帰り際、白坂はまだベッドの上にいた奏太をちらりと振り返った。その時、目が合って、奏太は息を飲んだ。
(やべ、バレた……)
しかし、奏太の緊張も虚しく、白坂は視線を戻すとそのまま部屋を出ていった。バタンと閉まる扉の音が、室内に虚しく響いた。
「気づかなかった……最後まで……あいつ……」
――そりゃねぇだろ、シラマ!
脳内で昼間の鈴井の声が響いた。
(……本当、そりゃねぇよ)
広いベッドの上で全裸で膝を抱えた。奏太が感じていたのはひどい絶望感だった。
セックスをして、こんなにも虚しい気持ちになったのは初めてだ。
自分は白坂に都合よく道具のように使われ、そして捨てられたのだ。自分が誰かなど気づきもせずに。
「馬鹿にしやがって」
奏太の頬に一筋の涙が落ちた。
悔しい。寂しい。虚しい。
噴き出したいろんな感情を白坂への怒りに集約させる。
「……馬鹿にしやがって」
奏太はもう一度吐き捨てると、涙が溢れる目を安っぽいベッドカバーに押し付けた。
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