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*9.化学準備室④

 白坂の耳元で笑い混じりに囁いた。そしてきつそうに張り詰めている彼の中心に手を伸ばした。ベルトを緩めてやると、怯えたような目を向けてくる。 「何を……ッ」 「ご褒美」  彼の下着はすでにシミがついていた。狭いせいか怯えているせいか、ろくな抵抗も見せずなかった。力の入らない手で手首を掴んでくる程度だ。  スラックスを下着ごと脱がせると、勃ち上がった陰茎が露わになった。熱くなったそれを上下に擦ってやると鈴口から透明の蜜が溢れてくる。どこまでも淫らな身体だ。 「い……、いらなッ、ぁッ……んふ……」 「どうして? このままじゃ辛いだろ?」 「やめ……ひッ、ぃ……い、やだ……ッ、んんッ」  先端を指の腹で捏ねてやるとビクンと身体が跳ねて、机の引き出しに頭をぶつけていた。物音に驚いた彼は、奏太にしがみつきながら必死に手の甲を噛んで声が出ないよう耐えている。  泣きながらしがみついてきても、煽ってるようにしか見えない。 「こんなとこでイかされるのが嫌?」  囁かれた言葉に白坂は何度も頷いて懇願する。 「も、許して……くれ……」 「だーめ」  張り詰めた欲望を絞り出すように手の動きを速めると、もう片方の濡れた指でその奥の蕾に指を挿れた。突くように一気にねじ込むと、ぎゅぅっと痙攣したようにその指が締め付けられる。 「んッ……、んんッ、はッ、あぐ……ッ。――――ゥゥッ」  白坂は両手で自分の口元を押さえながら、仰け反った。直後に白濁が宙を舞って白いシャツの上に落ちた。 「すごい飛んだね。シャツベタベタじゃん」  からかうように言っても反応はない。白坂は汚れた顔を拭おうともせず、俯いたまま静かに涙を流していた。奏太は自分の服を整えたあと、ポケットからティッシュを出すと、彼の顔を拭いてやった。嫌がるように顔を背ける彼の顎を捉えてこちらを向かせた。それ以上の抵抗はなく彼は従順にこちらを向いた。ただ伏せられたままの目が奏太を見ることはなかった。  ある程度綺麗に拭いたら、満足して解放してやる。そして立ち上がると机の下で座り込んだままの教師にいつものように挨拶をした。 「またね、シラマ」  廊下を歩きながら、奏太は満足感に口元が緩んだ。  白坂に深入りするつもりはなかった。飽きたら捨ててやろうと決めていた。  しかしこの数日間、白坂を支配し、感じているのは、もっと彼を服従させたいという加虐心だった。白坂が従順に奏太に従う時だけ、自分の存在が認められている気がした。  疎まれ、嫌われ、(わら)われている自分が、教師を従えている。その瞬間は、今まで感じたことのないほどの高揚を味わうことができた。  そして、気がつけば、もっともっと自分を認めて欲しい。そしてもっと白坂を支配したいと考えるようになっていた。 「次の手……、考えるか」  ぽつりと呟いた奏太の声にかぶせるように昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。

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