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*34.警告①(白坂視点)
このままじゃ駄目だ。
早くなんとかしろ。
頭の片隅でそんな警告が鳴り響く。
昼休みの化学準備室で、白坂はスラックスをボトムごと脱がされ、大股を開いて椅子に座っている。いつもは白坂が一方的に奉仕するのに、なぜだかこの日はこちらから触ることを禁じられた。
彼はまるで新しい玩具を見つけたような笑顔で「こっちの方が反応が面白い」と言って、白坂を弄んだ。情けなく思うのは、椅子の下に座り込んだ彼の刺激であっさりと反応を示したからだ。
「……ッ」
陰茎に少しキスされて、オイルのついた手で睾丸を撫でられただけで期待に緩く勃ち上がってしまう。膝裏を抱えた体勢で惜しげも無く晒された後孔が物欲しそうに口を開けて彼の刺激を待っているのがわかった。それを焦らすように指で縁をなぞられると背筋が粟立った。
陰茎の付け根に内腿、そして後孔のごく浅い場所を舌と指で丹念に撫でられる。欲しいと思う刺激を散々かわされ、白坂はじわじわと火に炙られるような快感に悶えた。
「やめ……ろ、もういいから」
昨日、セックスしたばかりの男がまた身体を求めてやってきた。
それを大した拒絶もせずに受け入れている。
理由は脅されているからだ。そうでもなければ、職場でこんなみっともない姿を晒すはずはない。
仕方なくやっているはずの行為なのに、彼とのセックスは白坂の思考を徐々に侵食している。
やめろと言いながら、もっと欲しいと身体の奥で唸っている自分がいる。今日彼が来るのをどこかで楽しみにしていた自分がいる。
そんな自分が白坂は許せなかった。
「何考えてるの?」
不意に聞こえた不機嫌な声とともに竿をぎゅっと強く握りしめられた。張り詰めたそこを圧迫されて、白坂は呻いた。警告に耳を傾けようとした思考がまた流される。集中しない白坂を奏太が責めるような暗い目で見上げていた。その顔に許しを請うように視線を投げた。
「い……痛い……。やめて……」
「止めていいの?」
奏太は勃ち上がった陰茎に唇を添えながら、入口を撫でるばかりだった指を深く中へと滑らせた。重い水音とともにあっさり侵入を許してしまう。待ちわびた感触に、足をひくつかせてその指に吸い付くのが自分でもわかった。
「……ァアッ」
「ねえ、前と後ろ、どっちでイきたい?」
先端から溢れる蜜を彼の指がぬるぬると広げていく。その様子に白坂は目が離せなかった。見栄を張るのも忘れてつい本音が漏れる。
「りょ、両方……」
「欲張りか。だめだよ、どっちか選んで」
「ナカ……がいい」
「シラマ、ナカが好きだね」
奏太の甘く、どこか嬉しそうな声が心地よく身体の奥に響いていく。埋められた指が探るようにして、内壁を撫でられると弾けるような快感が身体を駆け巡った。腰が刺激を求めて勝手に揺れてしまい、止められない。
「ひっ、うぅ……、ナカが好きぃ、あぁッ、んふ……ッ」
声を抑えようにも堪えきれない。白坂は机の上に置きっ放しだったハンドタオルを掴むとそれを自分の口に押し当てた。嬌声がタオルに吸われてもなお小さく漏れた。触れられていない陰茎から透明な蜜が溢れ、腰を振るたびに糸を引いて落ちていく。
しかし達するにはあと一歩刺激が足りず、快感ばかりが身体の中に溜まっていく。涙で視界がぼやけた瞳を奏太に向けた。
「そ……うた……、前も……触って……」
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