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37.警告④
ふざけんなよ、てめぇ。
そう言い返してやりたい気持ちを抑えて、白坂は都合の良い日を探した。
「来週の金曜の夜なら」
「わかった」
「なあ、二丁目のホテル行かないか?」
場所を指定したのは、青木と連携を取りやすいようにするためだ。
しかし奏太は渋った。
「なんか怖そうじゃん、あの辺。歩いてるだけでレイプされそう」
「されねぇよ」
その言い草だと行ったことないのだろう。偏見がすごい。
白坂は笑い飛ばしたが、奏太は頑なだった。
「警察に見つかったら補導されそうだし、いいことないよ」
「俺と一緒なら平気だろ。」
頑なだった彼の表情が一瞬、ぴくりと反応した。それを見逃さず白坂は椅子を転がしてその体を密着させる。すっかり固まってしまった耳元で白坂は甘く囁いた。
「いい店、連れて行ってやるよ」
奏太の頰に朱が刺した。思春期の男というのはこれほどまでにチョロいものなのか。彼の緊張が伝わってきて、こちらまで落ち着かなくなる。奏太は少し迷うそぶりを見せた後、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「……不良教師」
(なんだよ、普通に笑えるんじゃねぇか)
予鈴とともに、奏太は慌ただしく去っていった。騙そうとしているのに、ああいう反応を見せられると罪悪感を感じてしまう。
そんな感情を胸の奥に押し込めると、白坂はスマホのメッセージを起動した。
相手はもちろん青木だ。
『来週の金曜、決行な』
その日で全て終わらせてやる。
動画を取り返して、今までの恥辱を味わわせてやる。
「それまでは従順な犬でいてやるよ、野田」
静まり返った準備室で白坂は小さく笑った。
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