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4カラット~失った過去の音~
時は少し流れ・・
俺は2歳と1ヶ月たった頃、夜中に城を抜け出し
近くにある森へと向かった
走って30分程掛かってようやく着いた・・
「ハァ・・ハァ・・結構距離あったな・・この森がケルベロスの言ってた聖域・・誰も入れないとか言われている場所か・・」
そう言いながら俺はズカズカ森の中へ入っていく
「・・・何が危険なんだ?普通に入れたけど、一回入ったら出られないとか?・・あー・・でも・・動物どころか虫もいないってのは変だ・・」
いや・・虫は居なくていい・・うん居なくて良かった・・
暫く歩くと湖に出た
「スゲー綺麗な水」
水に触れてみると暖かかったり冷たかったり
温度がコロコロかわる変な感じに思わず湖から手をだした
「何だ!?この水!?飲むのはやめとくか・・」
とりあえず隠れて鍛錬できそうな場所は見つけたが・・
この森から出られるか、まだ確認してないので
今日はこれで帰ることにした。
しかし…
何事もなくすんなり森を出られてしまった・・
ただ・・この森はやっぱり変だ・・
何も生き物が見当たらないのに視線を感じる・・
なんとなく気配も感じる・・
その次の日からは、城を抜け出し
森で前の体で覚えた事を
この体に叩き込んでいた
後半少しだけ歌やダンスの練習もした・・
ダンスは頭で分かっていても体が言う事をきかない
以前のように動かせないのがイライラする。
歌も分かってはいたが・・前の声と全く違うのにショックを受けた・・
【KOU(コウ)】としての声も
天使の歌声とまで言われた【TUBAKI(ツバキ)】の声も
今は失われてしまった。
8歳の時に妹が死んでから身代わりとして歌い続けた…
TUBAKIの声が出せなくなったと同時に
妹【椿希(ツバキ)】まで一緒に失った気がした
そう思った瞬間、この世界に来て自分の失ったモノの多さに今更・・いや・・失ったなんて“気づきたくなかった”んだ・・
俺は仲間と歌い踊って喧嘩してバカやって笑って・・そうだ・・あの日常が・・結構好きだった・・
俺にはもう・・何も残ってはいない・・
「・・もう・・・っ・・二度と・・」そうあの日常は戻らない・・
失ったモノの大きさに改めて気づかされた
こちらに来た時にまだ、記憶が無いほうがよかったかもしれない・・
あちらの自分と今の自分を比べる事がなかったから。
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