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7カラット~湖の音~
「何だ!?これ!?」
手を着いた手を見ると濡れてない・・
接触している部分が、あの暖かかったり冷たかったりする感じがあった
「もう、お止めになって下さい!まだ小さな子供ではありませんか」
声のする方に、顔を向けると俺の頭を横から抱き込んでいる女性が立っていた。
その姿は、髪が長く体が透き通っていた
「何をしておる!【水の神】であるお前が穢れた人間の前に姿をさらすなど!」
「毎日この子を見ておりましたが、この子は何も悪い事などしておりません!」
「人間など皆同じ!欲の塊の様な奴らだぞ!何故そんなにも、その人間の子供なんぞを庇うのだ!私が納得出来る理由を言ってみるがいい!」
眉間にしわを寄せ牙を剥き出しに怒鳴り散らす
金色のライオンに対し女性の方はやんわりと
「こんなにも愛らしいではありませんか」
頬を染め優しい眼差しで俺の頭を撫でてきた
その答えに思わず俺とライオンは女性を見ながら
「「は・・?」」
と、声が揃って出た
ライオンの方はパカッと口を開いたまま暫く沈黙した後
ハッと我に返って、再び女性に食って掛かった
「馬鹿な事を!気でも狂ったか!穢れる!早くその子供を離さぬか!」
「嫌ですわ!貴方はわたくしがこの子を離したら殺しておしまいになるのでしょう?」
「あたりまえだ!!」
「では離しません」
「馬鹿な!では!力ずくでも奪うまでだ!」
「そんな事はさせません!」
え~と・・ヒートアップしてきたとこ悪いけど
「あ~・・・ちょっといいですかね・・」
2人の視線が俺に向けられた。
まずは女性の方に話しかけた
「あの助けて頂いて有難うございました。もう大丈夫なので降ろしていただけませんかね・・」
女性はチラッとライオンを見て「ですが・・」と渋っていたが
俺がもう一度「頼むから、降ろしてくれ」と言うと渋々地面へと降ろしてくれた。
次に、俺は金色のライオンの方に向いて
「知らなかったとはいえ勝手に森に入って悪かったよ・・あんた達が喧嘩する必要はねーよ・・もう二度とこの森には入んねーから、気がすまないのなら死なない程度に俺を痛めつければいいさ 取りあえず命があれば其方 の方も納得するでしょう?」
と女性に視線を向けた
「そんな・・!駄目です!いけません!もう既に傷だらけではありませんか!」
女性は美しい顔を歪めて、その瞳に涙を滲ませていた
「あんた優しいな・・だが悪いな此れは俺が決めたケジメなんでね、この森に勝手に入っちまった侘びと、俺の喧嘩の相手をしてくれた感謝の気持ちだ」
「感謝だと?」
「ああ・・俺は早く力を身につけ、家を出て一人ででも生きられるようになりたいんだ・・だから、あんたとの戦いは良い経験になった有難う感謝してるぜ!」
そういって俺がニカッと笑うとライオンは目を丸くした
そして、ゆっくり俺の方へ近づいてきた
「・・では私の気のすむままにしていいんだな?本当に」
「ああ・・構わ・・ぐっ!!」
答え終わる前にライオンが飛び掛ってきた
後ろへ倒れこんだ俺の上に片足を乗せて
ライオンが俺の顔の前で牙をみせていた
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