近くで見て、改めて綺麗な生き物だと思った　 間近でライオンを見ることも触ったこともあったが 此処まで美しい体系、毛艶のライオンは初めてだ・・ この黄金の毛並みが、ラメを振ったみたいに凄くキラキラしている・・ 眼も綺麗な金色だ・・・・まったく・・アイツが泣いて喜びそうだ・・ 俺は動物好きの従兄の事を思い出した。 それにしても・・こいつ・・ 俺に乗せてる足に殆んど体重が乗ってねぇ・・ これじゃあ、ただモコモコのクッション胸の上に乗のせてるだけだ こいつのデカイ体重が俺に乗れば、骨なんかすぐ折る事が出来るはず・・ 不思議に思いライオンの目をジッと見つめていると　 俺の上から、ゆっくりとライオンがどいた 「もうよい・・行け・・」 「え？・・もう・・いい・・のか？」 「かまわぬ・・」 背中を向けてしまったライオンに、俺は近寄り尾に触れた 「っ！何をしておる！早く去れ！」 ライオンが俺の額を尻尾でペチッと叩いた 「あたっ！ジッとしてろ尻尾の解いてやるから、このままじゃ可愛いけどカッコ悪いだろーが」 そう言ってデカイ尻尾を解いている最中、俺をジッと見ていたライオンが 「・・お前も・・そんな傷だらけでは、みっともなかろう」 そう言うと、解き終わった尻尾が俺の腹に巻き付いてきた 「おっ!!ちょ！高っ！」 俺は【ぷらーん】っと持ち上げられ 残った3本の尾がスルスルと俺の怪我した場所へと触れていく 地面に下ろされた時には、もうスッカリ傷は癒えていた 「お！スゲーな！やっぱ魔法は早めに覚えておきたいよなー・・」 以前、魔法を覚えたいとケルベロスに言った事があるが 危険だから駄目だと却下された。 一般的に回復魔法は7歳から、その他は大体12歳かららしい 光魔法は主に【回復】であり、危険性がない為教える年齢が早ようだ 危険性が高い魔法ほど年齢は上がるらしい・・ まあ確かに・・ 子供同士の喧嘩なんかでガンガン魔法使って ウッカリ周りが焼け野原になっても困るしな 「・・・おい・・お前本当に人間か？」 ライオンが眉間に皺を寄せて俺に聞いてきた 「コラコラ、いたいけな子供に向かって何てこと言うんだ！どこからどう見ても人間だろうが！失礼な！」 「それほど人間の事を知っておる訳ではないが・・お前は普通の人間ではなかろう、私を見て脅えもせんし・・あの動きも理解出来ん！お前歳は幾つだ？まだ赤子ではないのか？人間の子供がそんなにも動けるとも、会話出来るとも思えんのだが・・」 「おいおい・・赤ん坊は止めてくれ・・オムツはもう取れてるぜ」　 両手を腰に胸を張って「どうよ！超凄くねぇ？」っと少しふざけて言うと 　 「私の質問にちゃんと答えろ！歳は幾つだと聞いている」 ライオンは俺の前に顔を寄せて 低い声で威圧するように言ってきた 「怒るなって・・ちゃんと答えるから・・2歳だよ正確には2歳と１ヵ月だ」 「お前は何者だ？」 「何者って言われてもな・・ちゃんと人間だぞ」 「では、どこから来たのだ？」 「そこの城」 「城だと？」 「ああ」 ライオンの眉間に更に皺が寄った　 「・・あの城でお前は何をしておる」 「いや・・何って・・普通に暮らしてますが・・」 「・・・お前の名は？」 「ルークって名前でーす♪ルー君って呼んでねー♪」 「違う！正式な名があるだろう！」 ケッ！何てノリの悪い・・茶目っ気たっぷりに2歳児の子供が場を和ませようとしてるのに 「面倒くせぇな・・ええっと・・【クリストファー・ソレイユ・ルーク・グローリア】だったかな・・」 この長い名前、ケルベロスに何度も復唱させられた 『正式な場所や王族や貴族には、必ずこの挨拶をするのが礼儀ですよ』と何度も言われた 家族名が【クリストファー】で 自分の父親の名前【ソレイユ】 自分の名前【ルーク】 母親の名前【グローリア】 もし俺が女だった場合は最後に自分の名前がくるらしい 「クリストファーと言う事は！お前は王族？ソレイユは現国王であったな・・お前・・本当は何しに此処へきたのだ？目的は水の神か？金の獣か？どっちだ！」 名前を聞いたとたん ライオンは俺から距離を取り　威嚇してきた