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9カラット~罪の音~

「いや・・なーに怒ってんのか知らねぇが・・ちょっと落ち着けよ、俺が王族の人間だと何か不味いのか?」 「・・・・・・・」 こちらを睨んだままライオンは答えてはくれないので  少し離れた湖に立つ女性に目を向けると  女性は地面に足をつけ  透き通っていた体を実体化した後 ゆっくりと俺の方へと歩いてきた  「!!何をしておる!その姿で攻撃を受ければどうなるか分かっているだろう!早く戻らんか!」 ライオンが怒鳴っているが  女性は構わず俺の元へスタスタ歩いて来て 俺の手を取った 「さあ 少し長い話になります。ずっとお立ちになられてて、お疲れでしょう?お座りになって?」 そう言って女性が片手でソファーの形をした水を出し、そこへ俺を座らせた 「おおう!これはウォーターベット・・じゃあ・・ないか・・ウォーターソファーか?うーん・・これは眠ってしまいそうだ・・」 「寝ても構いませんが・・ウォタ・・ソファとは何か伺っても宜しいでしょうか?」 そう言って女性は手を俺の手へと乗せてきた そうだった・・ 名前が横文字だったから伝わるかと思ってたら、駄目だったんだよな・・ 「ああ・・ウォーターソファーは水の椅子って意味です。そして、寝ないのでお話お願いします」 「わかりました その前にルーク様は・・」 「様はいらない ルークでいい」 「わかりました、ではルーク貴方は私達が人間に・・いえ・・世間でどう呼ばれているかご存知ですか?」 「ああ・・本で読んだ・・【水の神】は確か・・毒や傷・・病などを直す力があり、汚水も綺麗な水にする事ができる・・そして【水の神】に実体はない・・って・・ガッツリ実体ありますよね・・」 俺は先ほどからずっと俺の手の上に置かれている女性の手を見た 「ふふ・・そうですね今はありますね・・では其方の方はどうです?」 女性はそう言うと今だ警戒しているライオンへと目を向けた 「【金色の獣は】どの【色】の獣よりも魔力が高い・・」 この世界で動物は【色】で強さが、ほぼ決まってる。 【金色】が一番強く、次に【銀】→【黒】→【白】の順だ・・ 天使や悪魔の場合は【翼】の枚数の多い方が強いようだ。 ケルベロスに『じゃあニンゲンは?』と聞いたことがあった・・ 『そうですね・・人の場合は・・やはり魔法力が高い(かた)が 強いでしょうね・・でも最近では奴隷や宝石の数が多いい方が強いとされています。』 そう言った彼の顔はゾッするような冷たい笑みを浮かべていた。 《ああ・・そうか・・理由はわからないが・・コイツも俺と同じで普段は演技をして生活していたんだ・・》 この時俺は、今までコイツに感じていた違和感の正体が少しわかった気がした。 こっちの顔こそがコイツの本当の顔なのだと・・ 気になって俺は聞いてみる事にした 『ケル←[ケルベロスの事]は何で・・怒ってゆの?』と、舌ったらずに言うとケルベロスは少し驚いた表情をしたが 『何も怒ってはおりませんよ?何故そうお思いになったのですか?』と逆に質問を返されてしまったので、首をかしげて『わかんない』と答えて、話を終わらせた事があった。 あの時のケルベロスの事を思い出していたら 隣に座っている女性に『どうしました?大丈夫ですか?』と声をかけられて話の途中だった事を思い出した。 「ああ!あと・・その力は神に与えられた・・とか書いてあった様な・・あ!それと体に宝石があるって・・え・・マジで?」 ライオンを振り返ると胸元の長い毛を片方の前足であげた  そこには、ソフトボール位の大きさの真っ赤な宝石  その左右には卓球の玉ほどの大きさの青い宝石があった 「それ・・体に埋まってんのか?うわー・・重たそー・・」 「お前・・これを見て、言うことがソレだけなのか?」 ライオンが何だか呆れた様子で言ってきた 「え?別に普通の感想だったろ?あとは・・『痛そー』とか『デケー!』とか『きれい』とか『高そー』とか言って欲しかった?」 隣で女性がクスクス笑いながら 「あの宝石を見たら『欲しい』と思うのが普通の人間の反応です・・アレを手に入れる為でしたら、どんな手でも使ってきますよ・・人だけでなく、他の種族の方達も同様に・・この世界で『金色』は、それだけ特別なのです・・あの宝石を手に入れれば、大きな力を得ることが出来ますが・・殆どが殺傷(さっしょう)して宝石だけを奪うことはせず、獣は奴隷専用の枷を嵌められ、その宝石の力と共に獣自身の魔法の能力もを王族や貴族が利用し 争いの道具として使われるのです・・今から700年前・・クリストファー家は【金の竜】を捕らえ、その竜の力でこの国の王になりました。その後も力の強い生き物を捕らえ奴隷にし、今も尚その力をクリストファー家は奪い利用し続けているのです。」 「お前も、この森に力欲しさに来たのだろう?・・次期王になる為に我等に枷を嵌め、この力を、」 「おい!俺は言ったはずだ『早く強くなって家を出たい』と確かに力は必要だが他人の力が欲しいわけじゃない、それに・・俺が王になることは絶対にない!なれないし、なりたくも無い・・」 俺はライオンがまだ話してる途中にも関わらず割り込んで言った 「そんな事、分からぬではないか!国王がお前を次の王にすると言えば王になる道しかなかろう!本人の意思など通らぬはずだ!」 「病弱で車椅子に乗って生活している王子をお前なら次の国王にしたいか?」 「なに?・・誰の事を言っておるのだ?」 「俺だ!」 ビシッと親指を立て自分へ向けて言うと、ライオンは俺をジッと見た後 「とても病弱には見えんし・・車椅子を使うほど、足も悪そうではないが・・」 「いや・・まあ・・色々事情があってな・・」 俺は命を狙われ毒を飲まされた話をした

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