「なるほど・・考えたものだな・・」 「こんな小さな子になんて事を・・もうあのお城へは戻ってはいけません！危険です！この森でわたくしが責任を持って育てます！」 「！また馬鹿なことを！そんなこと出来るわけがなかろう！人間の子の育て方など知らぬだろうが！」 ライオンと女性がまた言い争ってたが　空の色をみて 「明るくなってきし、そろそろ俺帰るわ　じゃあな！2人とも元気でなー」 俺は走りながら別れを告げた 「まずい・・片道30分・・ハア・ハア・急がねーとケルベロスの奴が来ちまうよ・・！」 「おい待たんか！話の途中で行きおってからに！急いでいるのだろう？私の背に乗れ！」 ライオンが追っかけてきた 「ハア・ハア・悪いな！そうさせてもらうわ・・お前に乗った方が間違いなく速い・・」 ライオンは俺を乗せると走り出した 「おー！すげぇ速いな！・・で・・？何か用事があってきたんだろ？」 「・・お前・・明日も森へ来い」 「なんでさ、入ったら駄目なんだろ？お前怒ってたじゃん」 「・・お前が去った後　女神が泣き崩れてな・・」 「ああ・・；あの人ね・・」 「それに・・私もお前にまだ聞きたいことがある、また明日森へ来い」 「わかった、そのかわり・・明日また俺の相手をしてくれないか？」 「戦えと言う事か？まあ・・いいだろう」 「あ！明日は魔法はナシだからな！魔法ナシでなら今度こそ勝てる気がする！」 「クッ…！ハハハハ！！私に勝つつもりか？まったく面白い奴だなお前は！良いだろう力は使わんから勝てるものならば勝ってみるがよい」 「あとで吠え面かくなよ！」 結局・・この日を境に俺は　毎晩この森へ通うことになった。 次の日の夜・・ 森へ向かおうと城を抜け出し暫く走るとライオンが迎えに来ていた。 湖へ行くと女性が泣きながら抱きついて来た。 「もう二度と・・会えないかと・・あの城でまた人間に殺されかけていないかと・・ご無事でよかったです」 「いや・・何か心配かけたようで悪かったな・・」 「もう・・あの城へ戻るのはお止め下さい、森の主もここで貴方を一緒に育てる事に同意して下さいました」 「あー・・悪いけど城で　まだやりたい事もあるし、ここには残れねーよ」 「・・・そんな・・・では・・せめて・・この水をお飲みになって下さい」 女性は500円玉ほどの大きさの水色の球体を俺に差し出してきた 「・・飲めって・・この飴玉みたいのをか？」 「おい！そんな赤子と【契約】するのか！？」 「契約？・・どういうことだ？まさか・・【契約】をするとアンタが死ぬってタイプの契約か？」 俺は以前【契約】についての本を読んだが 種族によって契約の仕方やリスクなどそれぞれ違うやら・・ 契約に種類があるだの・・ 結構複雑に書いてあったので、何となくでしか理解できなかった。 その中に契約して死ぬタイプのものがあった事を思い出した。 「『タイプ』とは何だかわかりませんが・・仰(おっしゃ)りたい事はわかりました。此方の水球(スイキュウ)はそういったものでは、ございません。体内に入った毒を取り除いたり、毒を感知したり出来る力を与えるのもので　軽い方の【契約】になります。ルークは以前毒で大変な目にあったとお聞きして、またその様な事があったらと・・とても心配なのです・・王族や貴族は特に毒殺や病気によって亡くなられてる方が多いので、わたくしの為にも此方を飲んでいただけませんでしょうか？」 「毒・・それは確かに・・助かるな」 あの城で食べるものや飲み物を口に入れる時、正直怖かったんだよ・・ 以前毒盛られて死にかけたしな 「この契約はアンタに影響はないんだな」 「はい」 「じゃあ遠慮なく頂く事にするわ」 そう言って水球を口に入れると『ぷちっ！ぷちっ！』っと弾ける音がして口の中から消えてしまった。 「え・・飲み込む前になくなっちゃったんですけど・・」 「大丈夫です、しっかりルークの体内に入りましたよ【契約】は無事完了致しました。・・ああ・・それと、いい忘れていたのですが・・わたくしを【召喚】出来る契約も一緒に完了いたしましたので、いつでもお呼び下さいね♪」 「・・はい？」 嬉しそうにニコニコしてる女性は湖へ入り実体のない姿になり此方を見て『ふふふっ』っと笑っていた 「おい！ちょ・・！どういうこと！？」 「愚か者め・・女神に一杯食わされよって・・それより・・どうやって二つ水球を飲ませたのだ？」 プチパニック起こしてる俺を見て呆れながらライオンが女性に聞いた 「あら・・簡単な事ですわ、【水色】の水球の中に【緑】の水球を入れておいたのでの二つの水球を飲ませる事が出来ました・・こんなやり方は初めてだったのですが・・ちゃんと契約出来て良かったですわ♪」 「『良かったですわ♪』じゃねーだろ！！アンタ！俺の承諾も無しに　何勝手に別なもんまで契約させてんだ！！今すぐ契約解除しろ！！」 女性の腕を掴んだが実体がないので水が『パシャン』っと弾け飛ぶだけだった 「解除はいたしませんよ、だって貴方はご・じ・ぶ・んで水球を飲んだのですから」 「違――う！！だ・ま・さ・れ・たんだ！」 暫くバシャバシャ女性に掴みかかったが・・ 実体ないし・・結局無駄に疲れただけだった・・