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13カラット~可能性の音~

「おい・・お前平気か?」 俺は縛られたままの黒い妖精に近づいて声をかけた、 妖精は俺に視線を向けたが 直ぐに逸らされてしまった・・ この光のない目・・そうとう酷い目にあって来てるなコイツ・・ 「あら・・その妖精は近づいても怖くないのですか?」 女性にそう言われ、俺は昔の事を思い出した 妹の椿希(ツバキ)が一時・・ 黒い蝶のブームが来たらしく、黒い蝶の柄のカーテン、着物、小物やらを買いあさって、家の中が凄いことになった時期があった・・ 中には結構リアルな物もあって俺と喧嘩になったが・・ 結局・・妹が飽きるまで黒い蝶を見続ける破目になった・・; 「まあ・・もともと黒い蝶は見るだけなら大丈夫だったけど・・コイツ縛られて動けないし、あの金色のウルセー奴みてーに向かっては、こないだろ?なあ!アンタ傷、治せたよな?コイツ怪我してるから治してやってよ」 「・・・・・・お前がやってみろ・・お前が治してやれ」 「・・いや!無理だし!出来な・・あ!もしかして【治療魔法】のやり方教えてくれるとか?」 「そうだな・・その前に、まずはこの石を持ってみろ」 「おう!持ったぞ、そして?」 「魔力をその石に注ぎこむのだ」 「おう!・・・どうやって?」 「何!?どうやって・・だと・・?それは・・こう・・わかるだろう!?なんとなく!」 「ええっ~・・;ひでぇ雑な教え方だな・・;教えんの下手クソか!!」 「ほっとけ!!お前が分からぬのが悪い!」 「ルークわたくしが、お教えしましょう。石を持ったまま目を瞑って下さい。」 「おう!」 「その石の中に貴方の好きなものでも嫌いなものでも構いません・・想い描いて見てください。その中のものだけを取り出したい!と言う気持ちで、思いっきり頭の中で弾くのです。」 「・・・・こんな感じか?・・・・・」 「!!!これは・・・!どういうことだ!?」 ライオンの声に驚いて俺は目を開けた 「何!?どうした!?」 「あ・・いえ・・今・・貴方の【属性】を調べたのです・・が・・」 「なんか・・不味かったのか?」 「全部だと・・そんなことが・・あるものなのか?聞いたことがないが・・女神お前はどうだ?」 「わたくしも・・多くても3つまでです・・」 「あー・・どういうことか聞いてもいいか?」 「その石はその者の属性を調べることの出来る石だ【光】【闇】【風】【炎】【水】【氷】【雷】【土】に色が決まっておるのだが・・お前は8属性全ての色が出たのだ・・見ろ・・私でも持ってる属性は【光】【炎】【風】の3つだ・・」 ライオンが、俺の持っている石に触れると色が3色になった 「俺・・属性の事は本で読んだけど、色とか この石の事は載ってなかったな・・」 「そうかもしれんな・・普通は調べる必要などないからな・・魔法を自力で使える人間など、そうはおらん・・人間で魔法を使っているのは殆ど王族や貴族で、宝石の力で魔法が使えるだけにすぎん・・だが何人かに、一人は生まれながらにして その体に魔力を宿しておるものもいる・・・・・これで、お前にも次期国王になる可能性が出てきたぞ・・」 「なっ・・!?どういうことだ」 「特に王族には魔力を持った者が多く生まれている・・だから子が生まれると王族と貴族はそれと同じ石を使い魔力があるか・・どの属性なのかを調べるのだ何歳でその儀式をするのかは知らんが・・それだけの属性を持つお前なら次期国王に選ばれる可能性は高いだろうな」 「確か・・4、5歳でその儀式があると、わたくしは聞いた事があるような気がします・・」 「そりゃ・・かなり不味いな・・その儀式早すぎだろ・・4、5歳までに強くなって城を出るしかないの・・か・・?」 「・・もしかしたら・・その石を【光属性】だけの色にする事は出来るかもしれません・・ルーク、貴方の中で一番強い力が【光】のようなので光を消す事は不可能ですが他の属性ならば・・貴方とわたくしが頑張れば消せるかもしれません。ルークが光の力を高め、わたくしが他の属性の力を水で包み抑えるのです」 「マジか!?そりゃ助かるわ」 「とにかく貴方は毎日、光の属性の力を引き出す練習をしていきましょう・・その第一歩にこの者の怪我を治してみてください」 「おう!どうやればいい?」 「その者の傷を治してさしあげたい・・と強く想い先ほど石に込めた力を・・・まあ・・何て強い・・光・・《そんな・・初めてで、もう習得してしまったというの?この子は・・》」 「・・・お!治ったな、どうよ痛い所あるか?」 「・・いえ・・ありがとうございます。」と黒い妖精は少し脅えながらお礼を言った。 「お前綺麗な黒だな・・目も髪も・・羽も黒くてキラキラして綺麗だとは思うが・・やっぱり羽が動いてると駄目だ・・長くて綺麗な髪だったから触ってみたかったが・・!・・羽が・・動いてるのがな・・」 くう~・・!もったいねー!触ってみたかった・・と後半ぼやいていたら  すーっ・・と妖精から黒い羽が消えた 「俺の羽が不快な思いをさせているようなので・・・消してみました・・」 「うっ・・!何か気を使わせて悪かったな・・俺はルークって名前だヨロシク!」 そういって手のひらを妖精の足元に置いた 「え・・っと?」 「乗って!乗って!喋りづらいだろ?」 「では・・失礼いたします・・」 「うおーー!!俺!今、妖精触ってるよ!マジでいるんだな妖精!」 「お前・・さっきも妖精ならば、たくさん居っただろうが・・」 「いや!あれは【虫】の一種だ!俺は今、初めて妖精にあったんだ!間違いない!・・だけどさっきの奴等出来るんだったら羽消してくれたら俺だってあんなに・・」 「それは無理だ、その黒の妖精だけが使える能力だ・・他の妖精には出来まい」 「へー・・そうなのか、凄いんだなお前・・それに優しい奴だな俺の為に気を使ってくれたんだろう?ありがとな」 そう礼を言うと黒の妖精は目を見開いて驚いた顔をした後、顔を真っ赤にしていた。 「ははっ!可愛いー!照れてるぜコイツ!見てみろよ!」 「あら、あら、本当かわいらしいですわ」 「ほう・・《あの無表情しか出来んかった、黒の心を開き居ったか・・相変わらず面白い子だ・・》ところで・・そろそろ帰らんと不味いのではないか?明るくなってきたぞ!・・早く私に乗れ」 「おう!そうか、じゃあまた明日な!」 俺はライオンに乗って 思い出したように振り返り聞いた 「なあ!そういえば!お前ら名前は?」 「ございませんよ。」 「ありません・・」 「あるわけなかろう・・名を持つのは人間と天使と上級悪魔だけだ」 「え!?そうなの!!!!?」 次の日・・ 俺は呼ぶのに困るからと・・ 3人に名前をつけた・・ 金のライオン【リオン】 水の女神【サラス】 黒の妖精【アゲハ】

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