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15カラット~定食の音~

それは・・ ある日の出来事でした。 森でリオンとルークを見つけたので、 声を掛けようとした者が()りました・・・ しかし・・ その日のルークはもの凄く怒っていた。 「おい!ちょっと!聞いてくれよ!城で出されてた俺のメシ!ずっと離乳食かと思って毎日我慢して食べてたら、アレが主食だって言うじゃねーか!どうなってんだ!?この国の飯(めし)は!書庫に料理の本があったから読んで見たらよぉ!お粥系と胡桃(クルミ)・ドングリ・栗・それとよく分かんない花とか!果物の切り方&盛り方!あと魚は生焼けは危険だから、黒焦げになるまで焼けだの!体に悪るすぎだろ!黒焦げなんて!それより!!肉は!肉はどうしたんだ!!他の具材も載ってなかったぞ!俺を殺す気か!」 「お前・・肉を食うのは悪魔族の奴等だけだぞ・・恐ろしい事をいうでない・・お前だって食われてしまうぞ」 「な!?まさか・・・お前・・肉を食わないとか言うんじゃないだろうな・・」 「そんなもの食べるわけなかろう」 「肉食獣だろお前!?まさかのベジタリアンなのか!?野生の本能はどこへ置いて来たんだ!獲物を追いかけたり・・そうだ!狩りに行こうぜ!お前も!野生の本能を取り戻すんだ!」 「何を言っておるのだ?さっきから・・」 「俺もう本当に限界なんだよ・・まともに食べられるのが果物と栗と胡桃しかないんだ!」 「そんな事より、今日はお前に試してもらいたい事がある・・まずは・・」 「そんな事!!?そんな事だと!!?俺にはこれ以上深刻な事なんてないね!もう腹が空いて限界なんだ!魔法使って鳥でも捕まえてくるわ!夜だから鳥も木の上とか(さが)しゃどっかには居んだろ!んじゃ!いってきます!」 「またんか!コラ!私の話をちゃんと聞け!」 リオンが後ろからルークに飛び掛って地面へと押し倒しました。 「いてーじゃねーか!どけよ!俺は今!(しょく)と言う名の壁につまづいているんだ!これを乗り切らないと、この先この世界で生きていける自信がねぇ!」 「少しは落ち着かんか!以前お前の属性を言ったことがあるな、あれ以外にも、お前には・・【無属性】を持っておる可能性がある。だから確かめたい・・」 「無属性?聞いたことないな・・」 「私も伝説だと・・おとぎ話の様なものだと思っておったが・・お前・・前に金色の妖精を追い払った時、不思議な道具を持っていたな・・あれをもう一度やってみろ」 「あー・・虫除けスプレーと殺虫剤か・・あれは俺が出したのか?・・どうやってやったんだろうな・・うーん・・」 「言い伝えによれば【無属性】は魔力をかなり消費するが、手元に欲しいものを強く思い描いて実体化させる事が出来るらしい・・ただし実在する物・・一度でもその目で、実際見たものしか出せないらしいぞ」 「なに!?マジでか!それを早く言えよ!虫除けスプレー(なん)かが出せたって事はだ・・もしかして・・・ヒレカツ定食・・ヒレカツ定食・・・・」 ぶつぶつ俺が頭の中でヒレカツ定食を思い描いてたらスーっ・・・と、ご飯、味噌汁、ヒレカツと生野菜の乗ったお皿が出てきた 「よっしゃー!!マジで出てきた!では早速いただきま~す!」 ヒレカツを一切れ取り、モグモグ頬張って食べたら・・ 食感は衣がサクッとして良いのに・・冷たいし味もしなかった・・ 「味がしないし・・冷たい・・」 「本当に出しよったか・・【無属性】の者など本当におるのだな・・もっと細かく想像してやってみろ」 「うーん・・・あ!出来た!これだよ!これ!ん~♪久しぶり~♪スゲーうまーい!でもコレは、かなり力の消費が激しいな・・;飯食ってもこれじゃあ不経済だよな・・よし!やっぱり狩りに行くぞ!おら!お前も来いよ!野生の本能を思い出させてやるぜ!」 「こら!私の尾を引っ張るでない!どこへ連れて行くのだ!小さいくせに相変わらず力が強いなお前は!!・・おい!離せと言っている!」 散歩を嫌がる犬の様にズルズル引きずられていく、この森の主リオンのそんな姿を目撃してしまった一人の妖精がいた・・ 声を掛けそびれてしまった妖精は 「俺は何も見てない・・見なかった・・」と、 見てはならない物を見た気がして 先ほどの出来事はなかった事にしようと、 スグにその場からヒラヒラ飛んで立ち去って行く 黒の妖精アゲハさんなのでした・・ 「ルークはやはり【無属性】の持ち主でしたか・・そういえば・・アゲハさん結局声を掛けずに去ってしまわれましたわね。ふふっ・・まったく相変わらず楽しい方達ですね」 アゲハの居た、その後ろの湖から 一部始終を見ていた湖の女神サラスは そんな3人を見て、湖で一人クスクス笑っておりましたとさ・・。

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