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16カラット~覚悟の音~
儀式の日から一週間が経ったある日・・
ケルベロスが、俺の母親から俺へと渡された物があるとデカイ箱を持ってきた。
母親は俺を生んで暫くして亡くなったらしい・・
箱の中身は女物のドレスとジュエリーなどの小物類が入っていた。
その中に金色の時計の付いたネックレスが入っていた
「其方の時計は国王様・・・ルーク様のお父上が貴方のお母様グローリア様にと贈られた物です。中を開くと、わが国【黄金の国】とグローリア様の【深紅の国】の紋章が描かれている大変貴重な物で、グローリア様がとても大事になさっておりました。」
金の時計をパチッと開くと、ちょっとした小物入れになっていて
左右にケルベロスの言った それぞれの国の紋章が描かれていた
【黄金の国】の紋章は王笏 が二本× の形でそのテッペンには王冠が付いていて、金のライオンと金のドラゴンが周りに描かれている。
【深紅の国】は王冠が真ん中に描かれ、その周りに金の狼と赤いドラゴンの絵が描かれていた。
時計の中には指輪が入っていたらしく・・コロコロと転がって、それをケルベロスが拾った。
「この指輪はグローリア様の家・・・【クリスティーン家】で代々一番魔力の強い者だけに受け継げられる指輪だと、仰られておりました。【深紅の国】はその名の通り赤い宝石が多く採れる場所で、その指輪に付いている赤い宝石もその中でも一番美しいと言われている宝石です・・ルーク様どうぞ其方の時計と指輪を大事になさって下さいませ。きっといつか・・貴方のお役にたつ日が来るでしょう。」
「ぼくが・・持っていてもいいの?」
「ええ。その箱に入っている物は、すべてルーク様のものですよ」
俺は金の時計を首から掛けて
箱に入っていた【短剣】と【眼鏡】【宝石】の3種類を 収納機能がある、三角の形をした青い宝石にしまった。
それを車椅子に付いているポケットへと仕舞った。
俺の車椅子にはたくさんの宝石が付いていた、
殆どが収納機能の宝石で ケルベロスが色々と膝掛けやら飲み物、果物までもを詰め込んでいた。
食べ物は宝石に入れると、大体一ヶ月位はそのままの状態を保てるようだ。
「ルーク様お持ちになられるのは其れだけで宜しいのですか?」
「うん・・後は・・仕舞っておいて・・」
「承知いたしました。」
ケルベロスが箱を隣の部屋へと仕舞いに行ってると、
ケルベロス以外近づかない この部屋の扉が珍しくノックされた
ケルベロスが急いで扉を開けると、そこには何やら手紙を持って一人の男が立っていた。
男は「此方を国王様から第七王子ルーク様へとお渡しするようにと・・では私はこれで失礼いたします」と手紙をケルベロスに渡すと足早に去っていった。
俺がケルベロスから手紙を受けとって読むと、
やっぱり嫌な予感的中したか・・と思うような内容だった
「なんと書かれていたのですか?」
俺はケルベロスに手紙を渡し
「ぼく・・戦争に・・行かなきゃいけないの・・?」と怯えながら聞いた
「そんな!?馬鹿な!いくら光の力が強いからと言ってもまだ4歳の子供に!しかも王子ですよ!何かの間違いですこれは!貴族の子で以前、人手が足りなくて回復魔法の使える子を戦場へ連れって行った事がございましたが、7歳の少年だったので帰ってきた時には精神的にボロボロになってしまっていて・・結局それ以降戦場へ行くのは最低16歳からと・・ルーク様これは何かの間違えです。私確認してまいりますので、ちょっと失礼いたします!」
そう言うとケルベロスは早足で扉から出て行った。
暫くしてケルベロスが、真っ青の顔して帰ってきて「申し訳・・ありません」とまだ信じられないと言う顔で言った。
「うん・・ありがとうケル・・大丈夫・・ぼく・・行ってくるよ」
俺は4ヵ月後にある悪魔族との戦争に駆り出されることになった。
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