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24カラット~交渉の音~
闘技場に着くと既に もう二人の男が戦っている最中だった
俺はその二人が夜じゃない事を確認すると
近くにいた男に声をかけた
「あの!トーケル家のスティンク様の奴隷が戦うと聞いたのですが、何時 頃始まるかわかりますか?」
「おお!この次らしい・・・・ぞ・・っと・・え?もしかして・・ルーク・・王子ですか・・?」
あ・・
よりにもよって不味 いのに声かけちまった・・
俺がたまたま声をかけた人物は
女将さんの息子のフェルドと
その隣にはカルトもいた
「はい・・あの・・この戦いの次ですね?わかりました・・えっと・・ありがとうございました・・では失礼します」
俺はペコっと頭を下げてその場をすぐさま逃げようとしたが
フェルドはそう すんなり逃がしてはくれなかった
「あ!ちょ!ちょっと待ってください!ルーク王子!」
フェルドは逃げるように去ろうとした俺の前に回るとすぐに跪(ひざまず)いた
カルトもその隣にスッと立ち すぐに跪いた・・
「あの・・ちょっと急いでいるのですが・・」
「申し訳ありません!ルーク王子、少しだけお付き合い下さい!お初にお目にかかります私は第七騎士団団長の【デフェール・フォルティ・フェルド・カルディア】と申します」
「同じく第七騎士団の副団長をしております【ノヴァ・レンツ・カルト・アウラー】でございます」
フェルドとカルトが自己紹介をはじめたが、俺はそれどころではなかった・・
夜が戦う前に何とかして止めたかったので
急いでスティンクに会う必要があった
「あの・・何か僕に御用ですか?急いでいるので後にして頂・・」
「今度の悪魔討伐に我々第七騎士団がご一緒する事になりました!我等 第七騎士団!何があってもルーク王子をお守りいたします!なので!どうかルーク王子のお力を我々にお貸し下さい!お願いいたします!」
俺が話し終わる前にフェルドがデカイ声で遮 ってしまったので
俺はもう一度退くように言おうと口を開いた時だった・・
「お次は!トーケル家の奴隷とウッド家の奴隷でございます!さあ!皆様!準備は宜しいですか?では!お手元の札にどちらが勝つかお賭け下さい!――――――・・・はい!受付を終了いたしました!これは!やはりと言うべきか!ウッド家の奴隷が圧倒的でございます!やはり狼と熊では熊の奴隷のほうが有利(ゆうり)と見たかたが多いいようですね!果たして結果はどうなるのでしょう!それでは!始めていただきましょう!」
しまった!遅かったか!
くっ!コイツ等の所為で間に合わなかったじゃねーかよ!
「ルーク王子?・・あ!ルーク王子はトーケル家の奴隷を見にいらしたんですよね」
俺がもう既に戦い始めている二人を見ていると
フェルドがそれに気づいたように俺の車椅子を「失礼いたします」と押して一番前の列まで移動した
やはり戦いは力の強い熊の獣人のほうが有利なようで
夜が何度も吹っ飛ばされていた
暫くすると『ビ----------ッ!』っとブザーの音が会場に響いた
「おおっと!?ここから奴隷達が獣の姿で戦います!さあ!ケダモノの本能のまま戦い!この勝負に決着をつけて下さい!だが!これは一方的か!?ウッド家の奴隷が強すぎる!!」
司会の男がブザーと共に喋り始め人型から夜は狼に・・
対戦相手も熊の姿になった
夜もリオンと一緒で
俺が知ってる普通の狼のサイズよりかなりデカイとは思っていたが・・・
熊のほうはその何倍もデカかった
このままじゃ本当に殺されちまう!
でも・・決して勝てない相手ではない・・
熊野郎 より夜 の方がスピードは上だ・・
「―――夜!!!」
俺が夜の名前を呼ぶと倒れていた夜の視線が俺を見つけた
俺はそれを見て熊野郎を指差し自分の目を指差して『目を狙え』と合図した
夜は目を見開いた後 何とか立ち上がり熊の両目を潰し足や喉を噛み攻撃した
最後は熊が立てなくなり試合は夜の勝利で幕を閉じた
ホッとした俺は急いでスティンクの所に向かおうとしたが・・・
「ルーク王子はトーケル家の奴隷と何かご関係があるのですか?」
カルトに声をかけられ俺はコイツらがいたことを思い出した・・
「あの・・スティンク様に先ほど良くして頂いたので・・その・・スティンク様の奴隷の方 の応援を・・それで・・あの僕はスティンク様のところに挨拶に伺 いたいので・・これで失礼させていただきます」
そう言って俺が車椅子を動かそうとすると またもやフェルドが逃がしてはくれなかった。
「では私共 がスティンク様の所までご一緒致しましょう お一人では危険です」
「え・・いえ!一人で大丈夫ですので・・お二人は金幸際 を楽しんで下さい」
「あ・・いや・・トーケル家のスティンク様は・・その・・ちょっと・・何て言うか・・・・危険なのです・・ですので私共がご一緒させていただきます」
俺がやんわり断るとフェルドが言いにくそうに言った
「それに・・私はルーク王子の力がどれだけのモノなのか私にも拝見させて頂きたい フェルド隊長の言う事を信用出来ない訳ではありませんが・・私は貴方の力を自分の目で確かめたいのです・・フェルド隊長が見たと言う力を是非私にも見せて頂きたいのです それによって戦う体制も変わってきますのでお願いいたします。」
そうカルトが言った後 俺は小さくため息をついて
「わかりました・・でも約束してください・・貴方がたは挨拶などは構わないですが・・それ以外は何も喋らないと・・」
「「承知いたしました」」
俺の言葉に二人が納得したので 仕方なく二人の騎士を連れてスティンクの所へ向かった
スティンクを見つけると向こうも俺に気づきスティンクの方から話しかけてきた
「おお!これはルーク王子ではないですか!ご気分の方はもうよろしいのですかな?」
「はい・・おかげさまで少し良くなりました・・それよりも、先ほどの試合を見ておりました・・おめでとうございます・・スティンク様の奴隷の方はとてもお強いのですね・・」
俺がスティンクの後ろにいる夜を見ると血だらけで立ってるのがやっとという感じだった「これは!これは!お恥ずかしい!あんな無様 な試合をルーク王子に見られてしまうとは!・・ところで其方のお二方は確か・・第七騎士団の・・」
「はい・・先ほど一緒に観戦していて・・次の悪魔討伐の件でお話があるそうなので、その前に一緒に此方に伺いました・・それで・・あの・・先ほどお約束した賭け勝負の事なのですが・・先ほどの試合を見て僕はスティンク様が所有されている其方の奴隷の方が気に入ってしまったので・・賭け勝負をして僕が勝ったら是非そちらの奴隷の方を譲ってはいただけませんでしょうか?」
「ルーク王子!何を!?」
俺の言葉を聞いてフェルドが声を上げた
「ハハハッ!これは!驚きましたな・・こんな奴隷がルーク王子の興味を引くとは!・・しかし・・こんな穢れた色をしていますが・・珍しい種類の奴隷でしてね・・それなりに手に入れるには苦労したのですよ・・」
「ええ・・わかっております、勝負の内容のほうはスティンク様がお決めになって下さい・・そして、スティンク様が勝てば僕は何でもスティンク様の言う事を聞きます」
「―――なんと!!!それは・・本当でございますか!?」
スティンクは感極まった表情で俺へと手を伸ばし
ゆっくりと近づいて来たが・・
カルトが俺の前に立ち、俺に触れようとするスティンクの手を阻止した
「それ以上ルーク王子にお近づきにならないよう・・お願いいたしますスティンク様・・それと・・ルーク王子・・賭けの勝負ですので・・値段のつけられない物はいけません・・札に入っているお金か私物でなくては・・」
「はい、わかっています・・なのでこの宝石二つをスティンク様が勝てば差し上げます・・ただ・・この宝石の価値が・・どれくらいか分かりませんが・・」
俺は二つの宝石を取り出した 一つは俺の母親ので、もう一つは地下にあった宝石を拝借した物だ
「これは・・中々の物のようですな・・では価値を調べてみましょう」
スティンクは自分の札を出して俺が持ってる宝石にかざした
「!?ルーク王子!この宝石はどこで手に入れたのですか!?すばらしい・・この宝石一つで奴隷位いくらでも買えますぞ!」
「本当ですか!?では!この宝石と其方の奴隷のかたを交換するのは・・」
「ルーク王子・・そうして差し上げたいのですが・・それは出来ないのです・・この会場でこの札を持っている者は【勝負】をしてからでないと・・・」
スティンクがそう言うとしゃがみ込み俺の右手を取って「申し訳ありません」と言った
それを見た騎士二人がスティンクを俺から引き離そうとしたが
俺がそれを止めた
「第七騎士のお二方 申し訳ありませんがスティンク様と僕のお話の邪魔をするのであれば、この場から退室していただきたいのですが・・」
「ですが!!ルーク王子・・・!」
フェルドが何か言いたそうだったが続けて俺は言った
「それが出来ないのであれば、せめて僕より前に出ないで頂きたい 僕の後ろで待機していて下さい」
二人は渋々俺の後ろへ移動し、スティンクを俺の後ろから睨み付けていた
「まったく・・第七騎士の評判は本当だったようですな・・騎士としての品性のかけらもない・・それにしてもルーク王子は小さくてお美しいお手をしていらっしゃる」
スティンクは俺の右手を両手で覆うようにして撫でていた
「スティンク様・・そちらの奴隷を賭けて勝負をして下さるのなら スティンク様がお勝ちになった時、宝石はもちろんの事・・この【金幸際 】が終わったあと悪魔討伐に行くその時まで貴方の望みを僕が出来る事なら何でもかなえます。」
「それは・・・!素晴らしい!!では・・その前に一度でいいので、どうかルーク王子の目を拝見させていただけませんか?」
スティンクは相当俺の顔が気になっていたのだろう・・
しゃがみ込んだのは下から俺の顔を見ようと思ってたからか・・
「わかりました・・目が痛むので少しでしたら・・」
そう言って俺が前髪をあげると
「おお・・!!何て事だ・・!これ程とは・・!」
スティンクは目を輝かせて震えた手で俺の頬に触れてきた
「「―――ルーク王子!!」」
後ろの騎士二人が駆け寄ってくる足音がしたので
俺はスティンクが興味をなくした右手を顔の横に上げて手首を上下に振り
下がるよう支持した
そして俺もそっとスティンクの頬に触れた
「スティンク様・・そちらの奴隷を賭けて勝負をしてくださいますか?」
「ええ・・!!もちろんです!ルーク王子!」
「では・・その傷だらけの奴隷を治して差し上げても宜しいですか?死んでしまっては この勝負をする意味がなくなってしまいます・・」
「そう・・!そうですな・・・大事な賭けの商品に死なれては困りますな・・!是非お願いいたしますルーク王子!」
俺が前髪を下ろすとスティンクは未練があるように「あ・・」っと声を発したが
俺はそれを無視して車椅子を動かし夜の前まで行った
「スティンク様・・此処では人目もありますので、こちらの奴隷は僕が奴隷置き場まで連れて行って治療します・・スティンク様は勝負の内容と日時、時間を考えておいて下さい 決まりましたらお知らせ下さい」
するとスティンクが慌てた様に俺の前へ来て長い鎖を出した
「ルーク王子それでしたら、こちらをお使い下さい!」
「・・・これは?」
「ルーク王子はこちらをお持ち下さい・・・・そして・・・」
俺に鎖の端を持たせ反対側の鎖の端を夜の顔目掛けてスティンクは投げつけた
「それを首にはめろ!!・・・急げ!!モタモタするな!!」
スティンクがそう言うと夜は鎖の当たった目の上から血を流し
ゆっくりとその鎖を拾い上げて自分の首輪に鎖の端をつけた
首輪に鎖が付いたのを見計らって
スティンクが俺と夜の間に入り鎖の中央を持って思いっきり引張った
その力に耐え切れなくて夜は前へと倒れ込んだ
「奴隷の動きが悪い時は この鎖で引きずって行く方のが早くて楽(らく)ですので この鎖をお使い下さい・・重いようなら会場に居る給仕の者に言えば運んでくれるでしょう」
「・・・そうですか、お気遣い感謝いたします」
俺がスティンクに頭を下げると この会場のスタッフがやってきた
「トーケル家のスティンク様、この度はおめでとうございます。ウッド家の【コリス】様が待合室でお待ちでございます」
「おお!そうであった!急いで行かなければ!では、ルーク王子色々と決まり次第こちらから連絡いたしますので 申し訳ありませんがこれで失礼させていただきます。」
そう言ってスティンクは急ぎ足で出ていった。
「ルーク王子!何て事をしたんですか!今からでも考え直してください・・こんな!奴隷が欲しいが為に・・貴方は・・あの者に・・その・・貴方はまだ子供だから分からないでしょうが・・何をされるか貴方は分かっておられないのです!」
フェルドが俺の前に来て大きい声でそう言うと
俺は一言だけ「いえ、わかっていますから」とだけ言ってフェルドを手で押しのけ夜に話しかけた
「よく頑張りましたね・・もう大丈夫ですよ・・傷を治したいのですが・・ゆっくりでいいので奴隷置き場まで歩けますか?」
「ルーク王子!きいて・・―――!!!?あっぶね!?」
「少し黙っていていただけますか・・それと僕の力が見たいのでしたら 奴隷置き場まで一緒に【黙って】付いてきて下さい」
俺はフェルドを黙らせるために夜の鎖を首から外してフェルドに投げつけた
時間がだいぶ掛かったが何とか奴隷置き場に着いたらしい・・・
俺が想像してたのとはだいぶ違って、まるで植物園の温室のようだった・・
しかもかなりデカイ・・
その建物の中に入ると緑が溢れ川が流れて噴水まであった
「あの・・ここが・・そうですか?」
「はい、ここが【奴隷置き場】でございます。奴隷を呼びに来る給仕の者意外は誰も近づきません。さあルーク王子ここなら誰もいません・・私にその力を見せていただけませんか・・例え暴走してもフェルド団長と私が居れば止められますので・・どうぞ思いっきり力を出して頂いて大丈夫ですよ」
勝手なことを!暴走なんかしねーよ!
儀式の時は石の所為 で加減がわからなくなっただけだ!
俺はカルトの言葉に心の中で反論した後 傷を治そうと夜に触れようとした
「お待ち下さい!対象者に触れなければ治療出来ないのですか!?」
「え・・いえ・・別に触らなくても治せますが・・」
「でしたら!触らずに治療をしていただきたい!」
フェルドがそう言うので 何だかよくわかないが俺は夜に触れずに治療魔法をかけた
全身の傷が無くなったと同時にカルトが小さな声で呟いた
「凄いな・・これなら・・もしかすると・・」
「あの・・用件はお済になられましたよね・・お二人は会場に戻って【金幸際(きんこうさい)】を楽しんできて下さい・・」
「いえ!まだ話は終わっておりません!」
俺が二人にやんわりと会場に戻ってもらうように言うが
二人は中々この部屋から出て行ってくれない・・
正直・・スティンクよりも立ちが悪い・・
俺は面倒臭いと思いながらも二人の話を聞く事にした
「ルーク王子!お願い致します今度の悪魔討伐で貴方の力が必要なんです!どうか力をお貸し下さい!ルーク王子に何かあれば!私が命にかえましてもお守りいたします!・・それと、戦っている複数の人間・・つまり・・えっと・・戦っている兵士が傷を負ったら その者が戦ってる最中でも治療することは可能でしょうか!?そして、何人までなら同時治療が可能ですか!?」
フェルドの問いに俺は静かに答えた
「可能です・・人数は・・試した事はありませんが・・30人くらいは可能です・・しかし・・・・【命にかえまして】って・・」
俺はクスクス笑い出した
フェルドとカルトはお互い顔を見合わせカルトが「何か・・フェルド団長が変な事でも言いましたか・・?」と言うので
俺は首をかしげてフェルドに言った
「僕を【守りたい】のではなく・・貴方は僕を【殺したい】のでしょう?」
「何を―――!?そんな事あるはずが!?」
「貴方ですよね?僕を【悪魔討伐】に推薦したの・・」
「――――――!?・・何故・・それを・・」
「やはりそうでしたか・・そんな貴方が僕を守るんて言うんですから、可笑しいですよね」
「しかし!?ルーク王子の そのお力があれば今度の戦争は勝てます!必ず勝利してみせます!・・・勝利して!貴方をちゃんと無事に城にお帰しします!ですから・・どうか!」
「本当に勝てると思っているのですか?これまで何百年も優秀な騎士や魔法士が討伐に向かいましたが・・帰ってきたものは一人だっていなかったでしょう?」
「っ―――!しかし!?」
「そんな勝てる見込みが無いところへ僕を連れて行くと言う事は一緒に死んでくれと言っているようなものですよ・・他国(たこく)との戦争に参加した7歳の少年の話を以前聞きました・・戦争には勝ちはしたものの・・戻ってきた時には身も心もボロボロだったと・・兵士達の中にも恐怖のあまり心が壊れて自ら命を絶つ方々もいたそうですね・・それほど酷い戦いなのに僕のような子供を連れて行ってあなた方は平気なのですね・・しかも・・4歳児の子供に向かって悪魔の討伐に力を貸してくれとは・・騎士として恥ずかしくないのですか?」
俺の言葉にフェルドとカルトは悔しそうに顔を歪めていたが
カルトが思い切ったように顔をあげ 俺を睨み付けてきた
「っ・・・!だったら!一緒に死んでくれ!俺達だって好きでお前みたいなガキを連れて行くわけじゃねぇ!生きて帰りてぇから・・生き残る可能性が少しでもあるなら・・それに縋 るしか・・確かに・・お前の言う通り騎士としてみっともねーが・・それしか・・それに!お前だって今更行きたくないって言っても どうにもならないんだ!だったら つべこべ言わず大人しく俺達の言う事聞いて黙ってその力!かせ!」
「ええ、いいですよ ただし条件があります」
「「え・・?」」
カルトが大声で怒鳴ったあと
俺があっさりと答えたので二人は拍子抜けした顔をしていた
「・・ん?待て・・条件だと・・?」
「そうです、毎回悪魔との戦争には必ず子供を何人か連れて行くようですね・・悪魔の【エサ】として・・今回は僕がいるのですから他の子供たちを連れて行くのを止めていただきたい、そうすれば僕は全力で貴方がたに力をお貸しいたします。例え戦争には負けても貴方がたの命だけはお守りするとお約束します」
俺の言葉に二人は互いに顔を見合わせて
「あ・・いや・・その・・何て言うか・・こういう場合はどうしたらいいんだ?カルト・・」
「どうってお前・・作戦に邪魔だから子供達は今回連れて行かないとか何とか言っておくしかないだろうが・・」
「そっか・・そうだな・・そうしよう・・あのルーク王子・・その色々と申し訳ありませんでした。子供たちの事は何とか掛け合ってみるので・・協力の件宜しくお願い致します」
「わかりました・・こちらこそ宜しくお願い致します」
するとカルトが俺の前に膝をつき頭 を垂 れた
「ルーク王子先ほどは感情的になり無礼な発言をしてしまい、申し訳ございませんでした。どうぞ貴方のお好きなように処分なさってください。」
「では・・お二人とも少しでも僕に悪いと思っているのなら・・今回のスティンク様との勝負の件を黙って見ていてくださいませんか?」
「それは・・!?あの方は・・その・・子供がとても好きで・・いや!そういう好きじゃなく・・なんと言いますか・・おいカルトこういう時って何て説明したらいいかな・・」
「・・・・もうハッキリ言ったほうがいいんじゃないか?」
二人とも4歳児の俺に何て言っていいかわからなくて困った表情をしていた
「お二人が仰 りたい事は わかります、スティンク様は僕を欲しがっていらっしゃる・・下心丸出しの時点で僕の勝ちは決まったも同然です・・彼がどんな勝負を持ち掛けようと僕の勝利は揺るぎはしません・・どうぞこの【金幸際 】の観客として僕が勝利するのを大人しく見ていて下さい・・それと僕は暫くこの奴隷を一人で見て居たいのでお二人には退室していただきたい」
俺は二人にそうキッパリ言うと
「わかりました それではお先に失礼させていただきます」と言って出て行ったのを見て
俺は夜に近づき声をかけた
「おう!よく頑張ったな・・」
「お前のおかげで勝てた・・けど!何て事したんだお前!あのジジイにあんな勝負を挑むなんてイカレてやがる!」
「お前こそ!どういうつもりだ!せっかく俺が錠を外してやったのに!また付け直すとか!ありえねぇだろ!?イカレてんのはお前のほうだろうが!!まさか俺を助けたつもりか!?余計面倒くせー事になったじゃねーか!この!馬鹿狼が!!」
「お前こそ!何故せめて勝負の内容を自分で決めなかった!!あのジジイの事だ!必ずお前に勝ち目が無い勝負内容を持ちかけてくるに決まってる!この!馬鹿王子が!!」
「―――!?・・・・・・居るな・・夜・・あいつら撒 いてから また後で来る・・じゃあな!」
「あぁ・・よく気づいたな・・随分とあの騎士共に気に入られたみてぇだな・・来るなら夜中がいい・・この部屋は今は開放されているが・・23時を過ぎると完全に密閉状態になる・・お前の部屋と同じだ中の音も外の音も聞えない・・そこの大きな扉には鍵が掛かっているから この会場で貰ったお前の札をかざして開けるんだ」
「了解!んじゃ!またな!」
俺は夜と別れ
部屋まで付いて来られるのは御免なので
適当にフラフラして二人の騎士を巻いてから部屋へ戻った。
部屋に戻ると先程夜に出した紅茶が冷めてしまっていた
「あいつ結局一口も飲まなかったな メシとかちゃんと食えてんのかな・・そうだ、後で紅茶と一緒に軽く何か作って持ってくか・・夜まで暇だしな」
俺は軽食を持って夜中 温室へと向かった。
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