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心を奪われて
咲いている花は、見たことの無い花だったけれど、とても綺麗で、不安な心が救われる気がした。
「綺麗…」
「誰です…?」
小さく呟くと、返ってくるはずのない返事に驚いて顔を上げる。
そして、息を飲む。
視線を向けた先には、見たこともない美しい容姿をした者が佇んでいた。
美しく長い蜂蜜色の髪。
優しげな美しい琥珀色の瞳。
長い睫毛。
スッと通った鼻先に、
美しい薄いピンクの唇。
思わず、溜め息が漏れそうな程に美しい。
これ程までに美しい者は、いくら美しい天使が多い天界といえども、そうお目にかかれるものではない。
きっと位の高い、上級天使様の御庭に迷い込んでしまったのだと、慌てて膝をついてお辞儀をした。
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