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捕らわれる

「……………ただ、殺すのは面白くありませんね…」 「ひっ…ヒィッ………」 ゆっくりと、ベリアル様が顔を覗き込んでくる。 あまりの恐怖に漏れ出た悲鳴は喉に張り付く。 それなのに、いけないと思いつつも、その美しいお顔に目を奪われてしまう。 「ほぉ、下級天使風情の癖に、なかなか美しい見目をしていますね。」 「あ…ぁ、ベリアル…様…、どうぞ、…どうぞ、…お許し下さい………か、勝手に、御庭に、入ってしまって…、も、申し訳ございません……。し、知らなかったのです………」 ガクガクと震えながら、やっと呟くと、 優しく微笑んで、ベリアル様の手が優しく私の頬を撫でていく。 「あ…、あの……ぁ………」 するすると手を動かされれば、むず痒い様な、痺れる様な感覚が湧き上がってくる。 目をギュッと瞑って、その感覚に耐える。 その手が首筋まで滑った時だった。 「痛っ…!?」 チクリとした痛みが首筋に走り、慌てて目を開ける。 触れそうな程、すぐ目の前にベリアル様のお顔があって、息を飲む。 それが、恐怖からのものなのか、それとも見とれてしまったからなのか、最早自分には分からなかった。

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