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「ルノア。お前に、本日よりミカエル様の元にお仕えする様にお達しがきている」 「わ、私がですか!?」 まだ、見習い天使達が勉強の為に通う学び舎で告げられた言葉にひどく驚いた。 身分も最下級の、それも見習いの若い天使が、最高位の熾天使の御屋敷に仕える等という事は、前代未聞だった。 「先日、ミカエル様がお越し頂いた際に、お前を見かけたそうだ。お前の勤勉さと魂の美しさに、ミカエル様御自身より是非にとの事だ。…良かったな」 「あ、ありがとうございます!」 なんて、夢の様な話だろうと思った。 自分の様な若輩者を、過大評価にしろ、あの高貴なミカエル様が認めてくださり、ましてや身の回りの御世話をさせて頂けるなど、願っても簡単に叶う事ではないというのに。 学び舎では、羨望や嫉妬を向けられながらも、仲間達は皆祝福して送り出してくれた。 そして、初めてミカエル様の御屋敷に仕え始めた日は、今でも昨日の事の様に覚えている。 ミカエル様は、遠目で拝見した時よりも、美しくとても凛々しかった。 「こ、これから御世話になります!い、至らない事が多いと思いますが、一生懸命お仕えさせて頂きます!」 緊張しながら、やっとそれだけ伝えた私に、ミカエル様は優しく微笑んでくれた。 「世話をして貰うのは私の方だ。お前には期待している。これからよろしく頼む」 そうお言葉を頂いた時は、感動のあまり泣いてしまい、ミカエル様を困らせてしまった。 ミカエル様の御屋敷の先輩天使達は、皆優しく、まるで弟の様に私を可愛がってくれた。 本当に毎日が夢の様に幸せだった。 いつか自分もミカエル様の様な、 などとは恐れ多いけれど、 慈悲深くて強くて、 素晴らしい天使になりたい。 それが、私の夢でした。

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