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絶望

あれ…? ここは、どこだっけ…? ふと、目を開ければ、 そこはお伽話の様な、美しいお部屋だった。 ゆったりとした天蓋が天井から落ち、部屋は数々の豪華な装飾で飾られている。 目が覚める前の記憶は、悪い夢だったのでは無いかと、上半身を起こそうとした瞬間。 「痛っぅ……」 背中から羽根にかけて、酷い痛みに襲われる。 「ぁ……………………」 背中を振り返って、愕然とする。 羽根は治療を施されている様だったが、 完治には程遠く、まだ痛々しい。 それは、気を失う前の出来事が、 現実だという証拠だった。 「目が覚めた様ですね」 反射的に顔を上げると、ベリアル様が妖艶に微笑んで立っていた。 「あ……、あ……、」 気を失う前の事が鮮明に思い出され、恐怖を覚えている身体がガクガクと震え始める。 後退ろうとしたけれど、身体が強ばって動かなかった。 そうしてる間にも、ベリアル様は一歩、また一歩と近づいてくる。 「なかなかそそる表情をしますね…」 また痛い事や苦しい事をされるのかと強張る身体を、そっとベリアル様の腕に抱き寄せられた。 「っ…!?」 するりとしなやかな指先が唇をなぞっていく。 その感触にゾクリとした初めての感覚が走り抜けていく。 「ぇ…?」 ベリアル様の顔が近づいてきて、その唇が私の唇に触れた。 何が起こったのか理解できず、ただ呆けていると、唇から濡れた感触が、口の中へと侵入してくる。 「ん…!?んふ…は…」 ちゅ、チュプと濡れた音に、口づけられているのだと知る。 真っ青に血の気の引いていた顔に、勢いよく血液が流れ出す気がした。

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