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ゲーム

「私は貴方に好かれる様な事をした覚えはありませんが」 「は…はい…」 「随分、変わった趣味をしている。虐げられるのが好きなのか?怯えているのかと思っていたが…」 「い、いえ!痛いのも、恐いのも苦手です…!」 慌てて答えれば、にやりとベリアル様が笑う。 「私は、貴方の事など何とも思っていません。媚を売れば、天界へ帰してもらえるとでも思ったか?」 「そ、そんな!見返りを求めている訳ではありません…!」 「ほぉ、では天界へ帰れなくても良いのですか?」 「そ、それは…」 ベリアル様のお話に言葉が詰まる。 勿論、そんなつもりで言った訳ではないけれど、天界へ帰りたくないと言えば嘘になる。 「ほら、みた事か。所詮、恋だの愛だのは天使どもの世迷い言だ。天使とて、自分の身が一番可愛いに決まっている」 「そんな……」 そんな事はない。 そう言いたかったけれど、言いきる事が出来なかった。 「そうだな…、面白い事を言って笑わせてくれた礼に、もしも万が一、私がお前に惚れる様な事があれば、その時はお前をミカエルの所に帰してやろう」 「…え…!?」 「まぁ、もっともそんな事があればの話だがな」 「天使が悪魔を誘惑する…、傑作(けっさく)だな」 「む、むり…。無理です…!そんな大それた事!」 「天界に戻りたければ、精々私を誘惑して誑(たぶら)かすんだな?」 大悪魔のベリアル様を見習い天使の自分が誘惑する…? そんな事を、自分ができる訳がない。 考えただけでも眩暈がする。 楽しそうに高笑いをするベリアル様に、大変な事になってしまったと、ただただ途方に暮れた。

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