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お願い

「べ、ベリアル様…、お、お願いがあります…」 お願いなんて、図々しい事を頼んでは怒られてしまうかと、びくびくしながら言えば、意外にもベリアル様は興味深そうに此方を見た。 「ほぉ、お前が頼み事とは…、何です言ってみなさい」 「あ、あの…」 「装飾品か?宝石か?それとも、質の良い衣を仕立ててほしいか?確かに、その元から着ている小汚い布切れの様な服1枚ではあまりにも見窄らしいな」 「い、いえ、そうではないですっ!」 考えもしていなかった事をベリアル様に言われて驚く。 そんな高価なものなんて庶民の自分には見合わないし、欲しいなんて思った事もない。 慌てて首を振れば、ベリアル様の眉間に皺が寄る。 「何だ、はっきり言いなさい」 ベリアル様の機嫌を損ねては大変と、慌てて頭を下げた。 「わ、私に、その、お、……お仕事を下さいっ!!」 「はぁ?」 「あの、と言っても、私ができる事なんて、大して無いのですけれど…。あ、でもお掃除とお洗濯は得意です!」 だから、お仕事を下さいとお願いする私を、奇妙なものを見る様な目でベリアル様は見ている。 やっぱりお願いなんて、図々しかっただろうか。 「別に、そんなものは奴隷にさせれば良い事だ」 「どれい…?とは、私達の様な見習いの様なものでしょうか?」 「本当にお前は能天気ですね…」 何だか呆れている様なベリアル様の御様子に、またおかしな事を言ってしまったのだろうかと恥ずかしさに小さくなる。 「む、無知で申し訳ございません…」 「私はお前にそんな事をさせるつもりは無い」 「やりたいんです!お願いします!」 「それに、私が飽きたらお前は用済みです。そんな中で、仕事をさせろなど、私の機嫌をとる時間が減るだけだと思うが?」 「その…、ベリアル様に喜んで頂く事が上手く出来ないので、せめて私が出来る事でお役に立ちたいのです」 「………」 「だ、駄目でしょうか…?」 「…やれやれ、性的な事にもそれ位の積極性があれば良いんですがね」 「せ…!?も、申し訳ございません…!そういうのは、苦手です…」 本当はベリアル様が望む形でお役に立てれば一番良いのだけれど、やっぱりえっちな事は苦手だし、恥ずかしい。 積極的にベリアル様を誘惑なんて、到底できそうもなかった。 だから、せめて、少しでもお役に立ちたいと思ったのだけれど、やはり御迷惑だっただろうかと悲しくなる。 「まぁ、良い。好きにしろ」 「あ、ありがとうございます!頑張ります!」 「奇妙な奴だ…。何が、そんなに嬉しいのか、理解に苦しむ」 ベリアル様のお許しに嬉しくて飛び上がれば、ベリアル様が溜息を吐く。 少しでも、ベリアル様のお役に立てる様に頑張らなければと意気込む私を、呆れた様にベリアル様は見ていた。

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