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来訪者
魔界に来てから、どれ位の月日が経ったのか分からない。
最初は不安で恐くて仕方なかったけれど、大好きなお掃除や、お洗濯をしたりして過ごす毎日は、充実したものに変わっていた。
ベリアル様は、相変わらず痛い事や恥ずかしい事を止めてくれなくて、意地悪をしては私の反応を楽しんでいる様だった。
ベリアル様のお城には、ベリアル様と私しか居ない様で、沢山の天使達が仕えていたミカエル様のお城で生活をしていた私にとっては、とても不思議だった。
《どれい》というものが何かは分からないけれど、身の回りの事をお世話する者だと思っていたので、きっとその人達と一緒にお仕事をするんだと思っていた。
最初は、お休みなのかと思っていたけれど、そういう訳でもなさそうで、何日経っても、他の悪魔さん達が現れる事は無かった。
気になったけれど何となく聞きづらくて、気がつけば数日が過ぎていた。
そんなある日の事だった。
「ルノア、来なさい」
ベリアル様に呼ばれて行くと、そこには初めて見る者が立っていた。
そこにいたのは、ベリアル様と並んでも引けを取らない程美しい見目をした美丈夫だった。
だけれど、一目で悪魔と分かる深い漆黒の長い髪と瞳は、天界には無い色で、何だか酷く恐ろしい。
「ベルゼブブ、コレが私のペットのルノアだ」
ベルゼブブと呼ばれた悪魔さんは、此方を見てニヤリと不敵に笑った。
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