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暇潰しの玩具2~ベリアル視点~

「お前の天使を返しに来た」 「はぁ?」 まだ、ベルゼブブがルノアを連れ出して半日も経ってはいないのに、返しにきたという言葉の意図が分からず、首を捻る。 「抱いてみたが面白みがないという苦情なら聞きませんよ。アレが抱いてもつまらないのは最初に伝えてあるだろう」 「面白みも何も、抱いていないのだから、あの子とのセックスについては苦情の言いようも無いな」 「何だと?」 手の早いベルゼブブが、まだ手を出していないとはどういう事だろうか。 少なからず気に入ったから連れ出したのだと思っていたが…。 訝しげな私に、ベルゼブブが大袈裟に肩を竦めてみせた。 「ベリアル様、ベリアル様と泣いて五月蝿くてかなわん。これから味を見ようというのに、お前の名前をずっと聞かされ続けて興醒めだ」 「な………」 「見た目が愛らしいので、お前がいらないならば、私のハレムで一生可愛がってやるか、もし素質や素養があるようならば俺が経営している娼館で働かせてやろうかと思ったが、あれでは無理だろうな」 「あの馬鹿め…」 仮にも私のペットでありながら、その様な醜態を曝して戻って来るなど。 熟々、私を苛立たせる。 「ルノアは何処にいる?」 「自分の部屋に戻って泣いている。あまり、叱ってやるなよ?」 「知れたこと。この私が行けと言っているのに、何の勤めも果たさずに泣きながら帰ってくる等、躾直してくれるわ」 「手加減してやれ。」 「…ヤケに彼奴の肩を持つな。貴様とて、コケにされて腹が立つだろう」 「俺は面白い物が見れて満足しているぞ」 「何?」 「長い間、お前と親友をしているが、お前を慕っている奴など初めて見たからな。珍しい物を見せて貰った」 「…」 「俺は、お前の残忍さや悪徳の為ならば手段を選ばない所が気に入っている。お前は美しく強い。だが、部下も持たず、色恋にも興味が無い。誰も信じず、魔力で戒めた奴隷は持つが、気に入らなければすぐに殺してしまう。そんなお前の何処がそれ程好きなのだろうな?天使の善からは、遠くかけ離れているお前の一体何処が…」 「そんな事は、私が聞きたい位だ…!」 思った事をそのまま口に出し、勢いよく書斎の扉を開いた。

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