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側にいたい
突然、ノックも無しにドアが開かれる。
それが、誰かなんて分かりきっている。
今まで、一度だってノックをして、ベリアル様が部屋に入ってきた事は無かったから。
「ルノア…!」
「べ、ベリアル様…」
私がうつ伏せていたベットまで歩いてくると、いきなり髪を掴まれ、そのまま容赦なくベットから引き摺り下ろされる。
「痛っ…!痛いっ…!」
「よくも、私に恥をかかせてくれましたね」
見上げたベリアル様のお顔は怒りで紅潮し、体は震えている。
やはり凄く怒っているベリアル様に、恐怖で体が竦む。
「も、申し訳…ございませんっ…!」
「来なさい!もう主人に逆らえない様に躾直してくれる!」
躾という言葉に、ぶるりと体が震える。
「嫌…、嫌ぁ…、痛いのは嫌です…!ど、どうか、お許し下さい…!」
「躾が嫌だと言うなら、此処から出て行け!躾をしてくれというのならば、此処に置く事も考えてやる」
その言葉に、思わずベリアル様に縋り付く。
「わ、私…、ベリアル様と一緒に居たいです…!ベリアル様のお側に置いて下さいっ…!」
本当は、凄く恐い。
ベリアル様を凄く怒らせてしまった。
もしかしたら、殺されてしまうかもしれないと、恐怖で体はずっと震えている。
だけど、
どうしても、ベリアル様と一緒にいたかった。
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